担 当 者 | 単 位 数 | 配当年次 | 学 期 | 曜 日 | 時 限 |
大西 雅一郎 講師 | 4 | 通年 | 水 | 3 |
1 | 第1学期:フランスの自己表象、いったい誰が「フランス人」なのか? 2005年末に起きた移民系若者たちによる暴動を取材したビデオから考えてみる。 |
2 | 移民大国フランスは外国人や(旧)植民地の人々をどう処遇してきたのか? 「国民」の発明プロセスや同化主義の問題について考える。 |
3 | 「国民とは何か?」をめぐる議論、および思想家ジャック・デリダの問題提起から考える。 「たったひとつの私の母語、だがそれは私の言語ではない」(デリダ) |
4 | ドイツの自己表象、誰が「ドイツ人」なのか? ドイツ語話者がドイツ民族なのか? ドイツ対フランス、アルザスをめぐる攻防。 |
5 | グリム兄弟についてのビデオから考える。 はたして民話はドイツ民族の根源を明らかにするものなのか? |
6 | 精神分析の創始者フロイトにおけるユダヤ性、ワーグナーの唱える「ドイツ的芸術」 |
7 | イギリスの自己表象、リヴァプールについてのビデオを見て、ビートルズゆかりの町に残る「他者」の痕跡について考える。 |
8 | ロンドンに暮らすイスラーム教徒についてのビデオから考えてみる。 大英帝国を植民地の側から考える。 |
9 | イギリスとその植民地アイルランドとの関係を、エドワード・サイードの議論を踏まえつつ、2人の文学者W.B.イェイツとジェイムズ・ジョイスから考えてみる。 |
10 | ヨーロッパの主要言語(国語)の成立の経緯について概観する。 どのようにして「国語」が設立されたのか? 「国語」は自然な言語なのか? |
11 | 複数の言語が共存する地域、複数の言語を話す人々について考える。 スイス、ベルギー、フィンランド、フランスなど。 |
12 | ユダヤ系の作家・思想家について考えてみる。 カフカ、カネッティ、ヨーゼフ・ロート、ペソアなど。 |
13 | 「ユダヤ人問題」と「パレスチナ問題」の関係について、エドワード・サイードの議論を踏まえつつ考えてみる。 |
14 | 第2学期:ナチズムの人種差別主義はホロコーストや安楽死を引き起こしたが、その発想の源には北欧諸国の優生主義思想があった、ここにも誰が「立派な国民」なのかをめぐる思想と暴力がある。 |
15 | ディアスポラ(離散)について優れた思索を展開する思想家、徐京植(ソ・キョンシク)氏のビデオを手がかりにエグザイルについて考える。 |
16 | 在日の詩人・作家である金時鐘(キム・シジョン)氏についてのビデオを手がかりに、「国語」のかなたへと開かれていく言語の可能性について考える。 |
17 | アイヌの文化・言語を守ろうとした人、萱野茂のビデオを見て日本のマイノリティについて考える。 |
18 | アイヌの文化・言語を守ろうとした人、知里幸恵のビデオを見て日本のマイノリティについて考える。 |
19 | 沖縄を複数性・多様性に開かれた空間として考え直してみる。 |
20 | エドワード・サイードが死の直前、2003年のイラク戦争について語ったビデオを見て考えてみる。 |
21 | エドワード・サイード『故国喪失についての省察』(Reflections on Exile)からその序論「批評と故国喪失」の議論を紹介する。 |
22 | 同書から第12節「故国喪失についての省察」の議論を紹介する。エグザイルの作家、コンラッドやジョイスについても言及されている。 |
23 | 同書から第17節「被植民者を表象する」の議論を紹介する。フランスのノーベル賞作家カミュについての議論を含む。 |
24 | 同書から第25節「ナショナリズム、人権、解釈」の議論を紹介する。西洋中心主義を批判しつつパレスチナ問題にまで言及される。 |
25 | 同書から第26節「移動する理論」の議論を紹介する。フランスの植民地アルジェリアの解放闘争の理論的支柱であった思想家フランツ・ファノンにも話は及ぶ。 |
26 | 同書から第27節「歴史、文学、地理」の議論を紹介する。西洋の芸術や学問と権力との結びつきを暴きつつ、支配されてきた側のほうからもその複数性・多様性を肯定することで新たな世界の創造を提案する。 |