※哲学演習
ハイデッガーの芸術哲学

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
酒井 潔 教授 4 2〜4 通年 4

授業の目的・内容

ハイデッガー(Martin Heidegger, 1889-1976)著『芸術作品の根源』(Der Ursprung des Kunstwerkes 1935/36)を読む。「芸術作品」から出発するハイデッガーにとって、芸術家の制作とは、「真理」を「作品」という「物」の内に「据える」ことを意味する。そして、ゴッホの絵画『靴』や、古代ギリシアのアクロポリス神殿が例として解釈されている。さらに、ハイデッガーは彼の晩年の詩や論考のなかで、クレーやセザンヌの芸術表現についても、「存在」が「無」として迫る「存在の歴運」、あるいは「現前と現前するものとの差異」に言及するのである(彼のクレー論やセザンヌ論についても、時間のゆるす範囲で紹介したい)。
本演習では、ハイデッガーのドイツ語テクストの精緻な読解に努めるとともに、いわゆる「美」もしくは芸術をめぐる今日の諸議論に対しても、われわれなりの視点を構築して行きたい、と願っている。

授業計画

一年間の授業計画。テクストについて。『芸術作品の根源』の立場と基本思想についてのイントロダクション(『存在と時間』との関連についても概観する)。
Heidegger, Der Ursprung des Kunstwerkes を読む
10
11 ハイデッガーのクレー論
12 ハイデッガーのセザンヌ論
13 第一学期のまとめ
14 Hiedegger, Der Ursprung des Kunstwerkesを読む
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24 ゴッホ、クレー、セザンヌ
25 「芸術」とは何か
26 一年間の総括、そして展望

授業方法

全員による訳読。必要な語学的注意と内容的解説。そのつどの内容について、全員による討論。当番制による毎回の記録(プロトコル)の作成と発表。

成績評価の方法

平常点
訳読、プロトコル、討論参加、出席状況などに基づいて、総合的に判断する。平常点が不十分な場合には、追加して、口頭発表またはレポートを課する場合があり得る。

教科書

使用テクストについては、第一回の授業のときに指示する。

参考文献

渡邊二郎芸術の哲学』(ちくま学芸文庫筑摩書房1998
大橋良介美のゆくえ燈影舎2007
ハインリヒ・ロムバッハ著/大橋良介訳形象は語る創文社(品切)1982
伊集院令子像と平面構成—フッサール像意識分析の未開の新地—晃洋書房2001
その他にも、そのつど教室で指示する。