美術史講義
ヴェネツィア絵画のルネサンス

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
高橋 朋子 講師 4 2〜4 通年 3

授業の目的・内容

フィレンツェで興った新たな美術運動(ルネサンス)を真の意味で理解したヴェネツィア派の画家はジョヴァンニ・ベリーニであった。彼を起点としてらジョルジョーネ、ティツィアーノが育ち、ヴェネツィア絵画の盛期ルネサンス様式は確立される。今年の講義ではまず15世紀(初期ルネサンス)のヴェネツィア派がフィレンツェルネサンスの何を理解し取り入れたのかを概観したうえで、中央イタリア(フィレンツェ、ローマ)とは異なるヴェネツィア派の特色を考察するが、同時に北イタリア(パドヴァ)やアルプス以北の美術状況も考察の対象とする。次に16世紀(盛期ルネサンス)のヴェネツィア派をジョルジョーネを出発点とし、ティツィアーノを中心に据えて考察するが、そこでは中央イタリア(マニエリスム)対ヴェネツィアの美術構造が形成されていった過程を理解することが目的となる。従って本講座は、ヴェネツィアから照射する中央イタリアの美術状況ともいうことができる。

授業計画

ヴェネツィア派の絵画を成立させた背景
ヴェネツィアの地理的特色
ヴェネツィア派の絵画を成立させた背景
ヴェネツィアの社会と政治
ヴェネツィア派の絵画を成立させた背景
ヴェネツィアの信仰
ヴェネツィアのゴシック
ヤコポ・ベリーニと15世紀初頭のフィレンツェ
パドヴァのドナテロに対する反応
ジョヴァンニ・ベリーニを中心に
アントネッロ・ダ・メッシーナのヴェネツィア到来
ヴェネツィア画壇の長としてのジョヴァンニ・ベリーニ
ヴェネツィアの盛期ルネサンス
レオナルド・ダ・ヴィンチとヴェネツィア派
10 ジョルジョーネのマニエラモデルナ
11 ジョルジョーネとそのパトロンー「嵐」「3人の哲学者」を中心にー
12 ジョルジョーネと若きティツィアーノ
13 若きティツィアーノとミケランジェロ
14 1530年代のティツィアーノ
15 皇帝の画家としてのティツィアーノ
16 1530年代ヴェネツィアで活躍した画家たち
17 ティツィアーノとミケランジェロの確執ーフェッラーラの宮廷を介してー
18 ヴァザーリのヴェネツィア到来と中央イタリアの造形言語のヴェネツィア流入
19 ティツィアーノと中央イタリアの造形言語(マニエリスム)
20 フィレンツェで起こった「絵画と彫刻」のパラゴーネ
フィレンツェ対ヴェネツィア
21 フィレンツェのアカデミー
22 ティツィアーノとフェリペ2世のための作品「ポエジア」
劇的場面の表現をめぐって
23 ヴェネツィアの後期ルネサンスの様相
24 ティントレットとヴェネツィアのスクオーラ(同信組合)の絵画
25 ヴェロネーゼとティントレット
26 パラッツォ・ドゥカーレの画家たち
授業計画は先に記した内容を予定しているが、実際講義を始めた時点で順番が入れ替わることもある。また内容によっては一回で終わらない場合も予想される。その結果計画がすべて消化できないことも重々考えられることを断わっておく。

授業方法

授業はパワーポイントを使用して進める。また板書はしない。その代り各テーマごとに簡単に内容をまとめたプリントを毎回配布する。なおプリントには講義で取り上げた作品は必ずリストアップしておく。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する
第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
成績は基本的に2回の試験の結果で判断する。試験は三割程度の客観問題と、与えられた課題を論じる論述問題によって構成する。なお試験には授業中に配布したプリントと自筆のノートのみ持ち込み可とする。ノートやプリントに図版のコピーを貼ることは厳禁。

参考文献

本講義全体の参考文献は第1回目の講義のときに配布する。また各回の特化した内容に関する参考文献はその都度配布プリントに挙げておく。