現代地域事情 講義(3)
オーストリアの文化アイデンティティ

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
関根 裕子 講師 2 1〜4 第1学期 4

授業の目的・内容

「オーストリアってどんな国?」と尋ねられたらはっきり答えられますか?首都ヴィーンが「音楽の都」として明確な顔を持っているのに対して、オーストリアという国のイメージは何か漠然としていませんか?またハプスブルク家が支配していた20世紀初頭までの過去に比べて、現在のオーストリアはヨーロッパにおける位置づけもよくわからないと感じませんか?ところで皆さんはドイツとオーストリアの違いは明確ですか?本講義では、このように過去の栄光の歴史に比べて、現在あまりにもヨーロッパにおける存在感が小さくなってしまったオーストリアについて、歴史、社会、政治、芸術、文化、産業、風習など、可能なかぎり幅広い側面から紹介します。そしてこの人種の「るつぼ」といわれた多民族国家から引き継がれた小国の文化アイデンティティを考察します。授業では、たくさんの視聴覚資料を紹介します。またチロルのフォークダンスやヴィンナ・ワルツなどを実際に踊り、オーストリアの文化を直接体験しましょう。

授業計画

オリエンテーション「オーストリアとはどんな国?」各州の紹介、食文化にみる多民族性
オーストリアの歴史(1)ハプスブルク宮廷の芸術保護と音楽文化の発展(18世紀まで)〜マキシミリアン世からマリア・テレジアまで〜
オーストリアの歴史(2)貴族社会から市民社会へ〜ヴィーン会議からビーダーマイヤーへ〜(19世紀前半)シューベルトという現象
オーストリアの歴史(3)ヴィーン世紀末文化の始まり(19世紀後半)リングシュトラーセ文化とオペレッタ、ヨハン・ショトラウス『こうもり』
オーストリアの歴史(4)ハプスブルク家支配の終焉(第一次世界大戦まで)「ハプスブルク神話」〜ミュージカル『エリーザベト』〜
チロルのフォークダンスとヴィンナワルツ、民族衣装について
世紀末美術 クリムトとジャポニズム
オーストリアの現代事情(1)大戦間の政治・社会 「サウンド・オブ・ミュージック」の虚実
チロルのフォークダンスとヴィンナ・ワルツ体験会
10 オーストリアの現代事情(2)第二次世界大戦 ナチスのオーストリア併合をめぐって
11 オーストリアの現代事情(3)戦後処理の問題点と国際社会への復帰、ワルトハイム事件(20世紀後半)
12 オーストリアの現代事情(4)EU加盟とハイダー現象 (1990年以降)
13 オーストリアの現代事情(5)現在の諸問題、若者たちの傾向、現代芸術の動向

授業方法

音楽や美術、建築などの芸術作品については、多くの視聴覚資料を提示します。ダンスや歌の実技体験も予定しています。
毎回リアクションペーパーを書いていただき、出席点と平常点に反映させます。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験)(50%)、出席点・平常点(50%)

参考文献

池内 紀オーストリア新潮社1995年、ISBN:4106018403
大西建夫 他オーストリア早稲田大学出版部1996年、ISBN:5657969234
東海大学平和戦略国際研究所オーストリア 統合その夢と現実東海大学出版会2001年、ISBN:4486915495
W.M.ジョンストンウィーン精神みすず書房1986年、ISBN:4622017687
カール・ショースキー世紀末ウィーン岩波書店1983年、ISBN:400001160
その他、洋書、個別テーマに関する参考文献については授業時に指示します。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

出席を重視します。