刑事法演習4
刑事法判例研究

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
龍岡 資晃 教授
西田 典之 教授
2 3 第1学期 2

授業の目的・内容

比較的最近の重要判例を素材として、研究者教員と実務家教員がジョイントで担当し、当該判例の判断の対象となったのはどのような事案なのか、裁判所はどのような事実関係を重視して当該法的判断をしたのか、その判断の判例としての位置付け・射程距離・評価、学説・理論等の関係等を分析研究することによって、刑法理論とその実務における重要さについて理解を深め、実務的・理論的な法解釈の感覚を修得することを目的とする。

授業計画

本授業の趣旨・目的、授業進行上の方針・方法についての説明、担当判例の割り当て
判例について
実行行為・早すぎた結果の発生(最1小決平成16.3.22刑集58巻3号187頁、百選64等)
不作為犯・共犯と錯誤(シャクティパット事件、最2小決平成17.7.4刑集59巻6号403頁、百選6等)
因果関係(最1小決平成18.3.27刑集60巻3号382頁、百選14等)
正当防衛における侵害の急迫性(最1小決52.7.21刑集31巻4号747号頁等、百選23、最2小決平成20.5.20刑集62巻6号1786頁等)
正当防衛と過剰防衛(最1小決平成20.6.25刑集62巻6号1859頁、最1小決平成21.2.24刑集63巻2号1頁等)
共犯と身分・背任罪(最3小決平成17.10.7刑集59巻8号1108頁、最1小決平成平成20.5.19刑集62巻6号1623頁等)
共謀共同正犯(スワット事件、最1小決平成15.5.1刑集57巻5号507頁、百選76等)
財産上の利益と詐欺罪(最3小決19.7.17刑集61巻5号521頁、最2小決平成14.10.21刑集56巻8号670頁等)
10 電子計算機使用詐欺罪(最1小決平成18.2.14刑集60巻2号165頁、百選57等)
11 被害者の錯誤による同意と住居侵入罪・偽計業務妨害罪(最1小決平成19.7.2刑集61巻5号379頁等)
12 放火罪・公共の危険(最3小決平成15.4.14刑集57巻4号445頁、百選86等)
13 私文書偽造罪・代理名義・肩書・資格の冒用(最2小決平成15.10.6刑集57巻9号987頁、百選100、最1小決平成5.10.5刑集47巻8号7頁、百選98等)
14 責任能力(最2小判平成20.4.25刑集62巻5号1559頁、最1小決平成21.12.8刑集63巻 号 頁・平成20あ1718等)
15 本授業のまとめ

授業方法

授業は原則として担当教授2名が共同して行う。各回とも履修者2ないし3名を1班として判例を割り当てる。担当者は、共同して、割り当てられた判例について、事案の概要、争点、判旨、学説との関係、判例としての位置付け・評価等を検討・研究してレジュメを作成して提出し、あらかじめ履修者全員に配布する。授業では、担当者がレジュメに基づき報告をし、全員でディスカッションをする。授業終了後、担当者は、各自、授業でのディスカッション等を踏まえて、まとめのレポートを提出する。このレポートは、若干のコメントを付すなどして、提出者に返還する。

成績評価の方法

レポート:80%
授業に対する貢献度:20%
「レポート(80%)」は、共同作成のレジュメと各自提出のまとめのレポートにより評価する。「授業に対する貢献度(20%)」は、授業における発表・発言の状況・内容により評価する。第1学期末試験は実施しない。

教科書

教科書は特に指定しない。取り上げる上記判例については、教材として履修者全員にあらかじめ配布する。

参考文献

西田典之・山口厚・佐伯仁志判例刑法総論』、『判例刑法各論各第5版、有斐閣2009
西田典之・山口厚・佐伯仁志編刑法判例百選総論』、『刑法判例百選各論各第6版、有斐閣2008
西田典之・山口厚・佐伯仁志編刑法の争点』(新・法律学の争点シリーズ有斐閣2007
中野次雄ほか『判例とその読み方』改訂版、有斐閣、2002年(これは、刑事関係に限らない判例の全般に関する種々の問題を一冊にまとめたもので、実務において判例が果たしている重要な機能や、判例と学説・理論との関係を的確に理解するために極めて有用である。)

履修上の注意

履修者数制限あり。(30名)
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

履修者は30名程度とする。履修者多数の場合には、書類選考をするので、本演習を履修する志望動機、ならびに刑法1及び刑法2の成績を記載した書面を提出すること。