● 公共政策Ⅰ
―市場経済と公共政策―

公共政策（Public Policy）とは、中央政府、地方政府、公的企業等の公共部門（及び非営利団体（NPO）等を含みます）が行う公共的な政策全般を指します。対象とする政策分野は、経済・財政政策、金融政策、労働政策、医療・年金・介護等の社会保障・生活政策、インフラ整備、労働政策、消費者政策、教育政策等はもとより外交政策や防衛政策に至るまで幅広い分野にわたりますが、本講義では、経済及び国民生活の分野のわが国が抱える具体的課題を軸に、政治と経済という視点を含めて市場経済の下における公共政策について考えていきます。第１学期は、主に経済諸理論を踏まえた政策の基本的考え方について考えます。

１	１　オリエンテーション 公共政策の全体像と今後の講義の進め方等について
２	２　公共政策に対する市場経済からの考え方 ・市場の効率性（パレート効率性）と市場の失敗、需要と供給、消費者余剰 ・公共財と私的財 ・マクロ経済の均衡と不均衡（成長、インフレ（デフレ）、失業の発生等） ・分配、効率と公平、公共選択等
３	同上
４	３　景気政策、成長政策、構造政策、物価政策 ・景気政策（財政政策、金融政策、デフレ等）の考え方 ・成長政策、構造政策（規制改革、競争政策等）、物価政策等の考え方 （課題）なぜわが国の成長が低いのか。 「実質」とは？（市場経済の下で生活ははるかに豊かになっているが・・・） 失われた10年（20年？）とは？成長が遅いとシステムが崩壊・・・・？ デフレはなぜ続くのか。失業率は？　 経済の不振は政府の政策の失敗？ 政治と経済政策の関係（いわゆる「小泉」改革とは？） 日本の過当？競争とカルテル M&Aとは？（敵対的買収・ハゲタカ・事業再生等） 公的金融や産業政策は役割を終えた？ いかに活力を取り戻すか？
５	同上
６	〃
７	４　政策と財政・税 ・わが国の財政支出と税について、 ・財政赤字、プライマリーバランス、建省・赤字国債 ・政治と財政・税の関係 （課題）わが国の財政はなぜ赤字が拡大し続けるのか。 消費税はなぜ上げられないのか？ 法人税を下げるのはなぜか？（法人税を下げてどのような投資と雇用が増えるのか？） 財政赤字の扱いについて
８	同上
９	５　対外政策とグローバル化の進展 ・わが国の対外政策の考え方（産業保護、日米摩擦、投資等規制、FTA・TPP・・・） ・比較優位と構造問題やナショナリズム ・輸出入とISバランス ・通貨、為替レート （課題）わが国がグローバル化に乗り遅れるのは？ 市場経済主導か、それとも国家の露骨な介入か（国際ビジネス）？ 食料自給率は高ければいい？
10	６　雇用政策・労働市場 （課題）最低賃金制度、派遣労働規制、新卒市場・終身雇用制度、
11	７　消費者政策、生活政策、市場への規制 ・わが国の消費者政策 ・PL法、消費者契約法、各種消費者法 （課題）わが国で消費者政策はなぜ発展しないのか（しなかったのか）？ 消費者は保護か自立か？
12	８　公共政策と環境、資源等の問題 （課題）水がなくなる？石油がなくなる？トイレット・ペーパーは？（オイルショック、価格高騰、原油埋蔵量）、希少資源は・・・。
13	（予備）

授業は、毎回テーマと課題を設定し、分野ごとの専門知識がなくても理解できるものにしますが、マクロ経済や主な経済関連統計の読み方等の経済関係の基本的な知識は予め習得をしていただくことを希望します。公共政策Ⅰでは主に政策の基本的考え方を、公共政策Ⅱでは政策の実施及び政治・行政と経済の関係を基本に考えて行きます。

第1学期 （学期末試験） ：試験を実施する

試験は、テーマと盛り込むべきキーワードを入れた作文形式とします。

分野が広範囲にわたりますので、適宜授業でコメントします。

ロジャー・ミラー他（赤羽隆夫訳）『経済学で現代社会を読む（公共政策の政治経済学）』第１版、日本経済新聞出版社、2010年、ISBN:978-4-532-35430-5
スティグリッツ（藪下史郎訳）『公共経済学（第２版）』第2版、東洋経済新報社、2003年、ISBN:978-4-492-31331-2
迫田英典『図説日本の財政（平成22年度版）』東洋経済新報社、2010年、ISBN:978-4-492-03187-2