文学・文化コース ゼミナール(3)
ドイツ表現主義とその時代(1)

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
大貫 敦子 教授 2 3~4 第1学期 2

授業の目的・内容

ドイツ表現主義は、1905年頃から次々と登場した新しい芸術活動の総称で、絵画、文学、建築、映画、音楽など多岐にわたるものです。同時代のヨーロッパ各地で起きた様々な芸術の新しい潮流(キュビズム、未来派、構成主義など)とともに20世紀アヴァンギャルドの運動でありながら、当時のドイツの状況を反映した特性を持つものです。ドイツ表現主義に共通する特徴は、19世紀に形成され定着した市民的な価値観に包まれた世界を閉塞状況と感じ、古い世界の没落と新しい世界の到来を求めたことにあります。世界の終末の希求、父親に代表される権威の呪詛が、人間の内面性を表現する新しい芸術手法の探求につながりました。それは言語秩序を意図的に破壊し新たな言語表現を求める試みや、絵画における抽象化の傾向となって現れました。この授業では、ドイツ表現主義の発生とその時代背景を、第1次世界大戦にいたるまでの過程に焦点をあてて考察します。

授業計画

イントロダクション(「表現主義」という名称の由来と第1学期の授業の概要)
画家グループの登場:"Die Brücke"(1905年〜)と"Der blaue Reiter"(1911〜)の特徴
同上
プリミティヴなものへの憧憬と抽象表現(W.ヴォリンガー『抽象と感情移入』)
同上
ヴォリンガーの理論と絵画作品の比較検討
言語表現における新しい試み(イタリア未来派宣言とその影響)
同上
表現主義の詩作品(van Hoddis, Stramm, Stadler)
10 同上
11
12 終末観的な思潮との関係
13 まとめ

授業方法

共通テクストを全員で読むことと平行して、各自が関心のあるテーマについて発表する形で進めていきます。

成績評価の方法

学期末レポート
レポート評価とともに、授業への参加態度を重視します。

教科書

テクストは基本的にコピーで配布します。

参考文献

授業中に指示します。なお、ドイツ表現主義のほとんどの雑誌を収録したデータベースが、学内から閲覧可能です。データベースの使用については授業中に指示します。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

このコースゼミ(3)は(4)と合わせて通年履修すること。