地球物理学
地球惑星表層環境変動論

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
栗田 敬 講師 2 2~4 第2学期 2

授業の目的・内容

現在の火星の表層環境は乾燥・寒冷なもので、表層に液体の水が存在できる環境にはない.一方表層地形からは過去に川が流れ、海や湖が存在したと推定されている.このことは火星が過去に大規模な表層環境の変動を経験したことを示している.一方地球は過去35億年間海の存在する温暖・湿潤な環境が維持されてきた.なぜ地球では表層環境が安定に維持され、なぜ火星ではその維持に失敗してしまったのか?、と言う問いを軸に惑星の表層環境を決める物理的な機構を解説する.

授業計画

惑星科学入門、太陽系の仲間達:最近の惑星探査の成果に基づいて太陽系の構成員の様々な姿をしめす.その中で火星、地球がどのような位置を占めているのか、を解説する.
問題の所在:火星と地球の表層環境の違い.何を理解すればよいのか?
惑星の表層環境を決めるメカニズム(1):太陽の役割、放射熱伝達、軌道変化
惑星の表層環境を決めるメカニズム(2):大気の役割、放射、温室効果、2酸化炭素の役割、温暖化・寒冷化?
惑星の表層環境を決めるメカニズム(3):熱の分配、対流現象、海洋の役割
過去の表層環境を調べる手法:同位体分別作用、放射性元素時計
地球の表層環境の変動の歴史:氷河期サイクル、スノーボール・アース、過去の気温・海水温を調べる方法
地球の環境変動のメカニズム:地球における表層環境安定化メカニズム、カーボンサイクル、自己調節系
火星システム:火星の表層環境を決めるシステム
10 まとめ:地球と火星はどこが違っているのか?、火星システムと地球システムの違い
最新の惑星探査の成果や地球環境変動の現実のデータを講義では示し、物理学がその理解にどのように役に立っているのかを解説したい.講義内容に関連した講義のホームページを設ける.

授業方法

講義、質問.

成績評価の方法

講義期間中の数回のレポートで評価

教科書

教科書は使用しない.講義で使用した資料は講義開始時に提示するホームページにアップロードされる.

参考文献

大河内直彦チェンジング・ブルー岩波書店2008
東京大学地球惑星システム科学講座 編進化する地球惑星システム東京大学出版会2004

その他

講義内容は講義の進行に合わせてホームページに掲載する.講義に関する質問、要望はメイルにて連絡のこと.