● ※マクロ経済学特論Ⅰ（学部：マクロ経済学（上級Ⅰ））
―動学的一般均衡理論と経済成長―

現代のマクロ経済学は動学的一般均衡モデルを基にしている．本講義では、標準的なマクロ経済理論において、マクロ経済をどのようにとらえて理論化しているかを理解し、応用のための基礎を固めることを目的とする．講義の前半においては、動学的なマクロ経済モデルの入門としてソローの経済成長モデルを考察する．講義後半においては、本格的な動学的一般均衡モデルの基礎となるラムゼイ・モデルを考察し、動学的な最適化問題とマクロ経済理論との関係の理解を深めていくことを目的とする．本講義では主に経済成長論を扱うが、技術的な内容はマクロ経済学全般を学ぶ上での有用なものである．

１	イントロダクション：マクロ経済学とは何か？
２	経済成長論とは？：データを概観する
３	数学の準備：微分、対数
４	ソロー・モデル（１）：モデルの構築
５	ソロー・モデル（２）：動学分析
６	ソロー・モデル（３）：人口成長、技術進歩の導入
７	ソロー・モデル（４）：まとめ
８	ラムゼイ・モデル（１）：動学的最適化入門
９	ラムゼイ・モデル（２）：競争均衡
10	ラムゼイ・モデル（３）：厚生分析
11	内生的成長理論（１）：Akモデル
12	内生的成長理論（２）：Akモデルの応用
13	まとめ

学部レベルのマクロ経済学・ミクロ経済学の知識を前提とする．また数学を利用するため、その都度学んでいく姿勢が求められる．同時に最適化問題を取り扱う経済数学の講義を履修するとより理解が深まる． また、第２学期に行うマクロ経済学特論IIも引き続き履修することが望ましい．

講義は、板書、プリント、スライド等を用いて行う．
進度、受講者のレベルや希望により、内容を若干変更することがある．

第1学期 （学期末試験） ：試験を実施する

宿題の提出状況

詳細は初回授業でコメントする．

R・J・バロー、X・サラ-イ-マーティン『内生的経済成長論I』第2版、九州大学出版会、2006年、ISBN:9784873789118
その他適宜資料を配布する．

ロバート・J・バロー『バローマクロ経済学』同友館、2010年、ISBN:9784496046766
Daron Acemoglu , Introduction To Modern Economic Growth, Princeton Univ Press, 2009, ISBN:9780691132921
アヴィナッシュ・K. ディキシット『経済理論における最適化』（日本交通政策研究会研究双書）第2版、勁草書房、1999年、ISBN:9784326930272
西村清彦『経済学のための最適化理論入門』東京大学出版会、1990年、ISBN:9784130420372
参考文献に対する詳細は授業時に解説する．