※日本文学特殊研究
江戸文学と浮世絵

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
藤澤 茜 講師 4 D/M 通年 4

授業の目的・内容

江戸時代は、文学や歌舞伎、浮世絵など多様な分野が影響しあい、庶民文化が発展した時代である。
特に庶民の重要なメディアであった浮世絵は、当時の人々の興味の対象、流行を知る資料でもあり、古典文学や故事を江戸時代風に置き換えて表現する「見立」「やつし」の手法からは、鑑賞者がどれだけ原拠を理解しているかを判断することができる。また合巻や読本といった小説の挿絵が浮世絵にも描かれる事例からは、江戸文学における挿絵の重要性が確認できる。
この授業では、浮世絵研究の基礎、文献の調べ方等のレクチャーの後、浮世絵作品を受講生に割り当て検証、報告してもらう。画中に描かれる江戸時代の生活や風習についても調査した上で各作品を読み解き、文学と絵画の関係性についての考察を行なう。
浮世絵を通して江戸文化の重層性を明らかにしていくことを目的とするが、さらに受講者には文献を精査する楽しみを実感してもらいたいと考えている。

授業計画

(講義)ガイダンス・江戸の出版文化
(講義)浮世絵の制作・流通
(講義)浮世絵の情報―美人画・役者絵・風景画など
(講義)浮世絵の情報―風刺画を読み解く
(実習)浮世絵・版本の文献調査/発表方法の説明
(演習発表)神話・古典文学・謡曲・故事に取材した浮世絵
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14 (演習発表)和歌・狂歌を扱った浮世絵
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18 (演習発表)小説の挿絵と浮世絵
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22 (演習発表)浮世絵にみる歌舞伎
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26 まとめ

授業方法

取り上げる作品は授業内に指示する。受講者は各自興味のある作品を選んで検証し、報告する。
第1学期・第2学期に1回ずつ発表の予定だが、受講者数等によって変更する場合もある。

成績評価の方法

学年末レポート
出席・発表内容・学年末レポートを総合して評価する。発表担当ではない場合も、発表者への質問など積極的に授業に参加することを期待する。

教科書

授業時に指示。

参考文献

原色浮世絵大百科事典編集委員会原色浮世絵大百科事典 第4巻 画題-説話・伝説・戯曲大修館書店1981年、ISBN:82010102
辻惟雄奇想の江戸挿絵』(集英社ヴィジュアル新書集英社2008年、ISBN:9784087204407
藤澤 茜歌川派の浮世絵と江戸出版界改訂版、勉誠出版2001年、ISBN:4585100814

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

講師所蔵の浮世絵(約150年前に出版)を持参する機会を設ける。実際に間近で確認し、浮世絵の彫・摺の技術についても理解を深めてほしい。また研究室に所蔵される文献・版本等の活用はもちろん、美術館や図書館等へも足を運んで、積極的に文献調査の方法を習得してもらいたい。