● 記録史料学研究Ⅱ
―近現代日本における公文書の管理―

本講は、近代・現代日本における「記録史料」の代表的な一つと目される公文書（行政文書）を対象に、新たな「公文書管理法」体制を前提として、歴史学的・アーカイブズ学的見地から、その全体像を理解することを目的とする。具体的には、国及び地方自治体が保存・保有する特定歴史公文書・現用文書の双方を視野に入れ、それらの発生母体である各機関の変遷と現状、文書の発生と保存のメカニズム、さらに「記録史料」としての特質などを解明していく。あわせて、我が国近代・現代の公文書を検討対象とした先行研究、関連する法令なども適宜取り上げ、批判的に検討していく予定。

１	本講の課題と方法
２	「公文書管理法」施行後の諸問題
３	国の機関と公文書—国家行政組織の変遷—
４	同上—文書関連法令—
５	同上—文書行政の３過程—
６	同上—文書処理過程—
７	同上—文書施行過程—
８	同上—文書保存過程—
９	地方自治体と公文書—地方制度の変遷—
10	同上—都道府県の公文書—
11	同上—市町村の公文書—
12	公文書をめぐる現状と今後の問題点
13	総括

講義（問題提起）と討論、史料・文献の輪読などを組み合わせながら進める。

平常点による評価

特に指定しない。

中野目徹『近代史料学の射程』弘文堂、2000年
鈴江英一『近現代史料の管理と史料認識』北海道大学図書刊行会、2002年
丑木幸男『戸長役場史料の研究』岩田書院、2005年
小池聖一『近代日本文書学研究序説』現代史料出版、2008年
中野目徹・熊本史雄編『近代日本公文書管理制度史料集』岩田書院、2009年
太田富康『近代地方行政体の記録と情報』岩田書院、2010年
以上のほか、適宜指示する。

第1回目の授業に必ず出席のこと。