※ドイツ演劇演習
舞踊学・パフォーマンス研究入門

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
平田 栄一朗 講師 4 3~4 通年 3

授業の目的・内容

昨年度は同授業で演劇学の基本と応用を学ぶ機会を設けました。今年度の第一学期は舞踊学(Tanzwissenschaft)の基礎固めを目指したいと思います。ドイツの舞踊学は1980年代に本格的に促進され、現在では演劇学・パフォーマンス研究と並び、独立した学問分野として確立しています。この比較的新しい学問の方法論を紹介する入門書“Methoden der Tanzwissenschaft“(Gabriele Brandstetter, Gabriele Klein編著)を読み、この書で取り上げられているピナ・バウシュ作『春の祭典』の舞台映像を分析することで、舞踊学の多様な可能性を探りたいと思います。
第二学期はパフォーマンス理論をテーマとします。この研究の基本文献であるエリカ・フィッシャー=リヒテ著『パフォーマンスの美学』は翻訳で読むことができるようになりましたが、その他のドイツ語や英語の重要な文献はまだ邦訳で読むことができず、この分野には未知の領域が数多く残されています。この領域を埋めるために、『パフォーマンスの美学』以外のパフォーマンス論を読んだり、それを裏打ちする実践例を映像資料で観て意見交換をしたいと思います。さしあたり考えている論はDieter MerschのEreignis論やWahrnehmung論、Werner HamacherのAfformativ論、Gabriele KleinのBewegung論、Sabine SchoutenのAtmosphäre論、(ドイツ語圏の研究を相対的に確認する意味で)ドイツの演劇と演劇学に精通するアメリカのパフォーマンス研究者Marvin Carlsonによる北米流のパフォーマンス理論などです。これら以外にも様々な論がありますが、授業で扱う論は、参加者の意向を踏まえて調整したいと思います。

授業計画

第一学期は、上記書“Methoden der Tanzwissenschaft“に収録されている論考(15本)を少しずつ読み進めていきます。担当箇所(10‐15ページ程度)をあらかじめ決めて、担当者が30分程度の発表を行い、その後、参加者同士で質疑応答や意見交換を行います。どの論考を取り上げるかについては、授業開始後の早い段階で相談して決めたいと思います。
第二学期の授業ではまず邦訳文献『パフォーマンス美学』や、パフォーマンス研究に関する日本語文献を読み(授業3回程度)、その後は「授業の目的」に記した文献のパフォーマンス論を取り上げていきます。第一学期と同様、担当箇所をあらかじめ決めて、担当者の発表、その後質疑応答・意見交換を行います。授業参加者の関心領域を出来るだけ反映した論を扱いますので、取り上げたいパフォーマンス理論について早めに授業担当者とご相談ください。

成績評価の方法

出席回数・発表・授業内容への姿勢を総合的に判断して評価します。

教科書

Gabriele Brandstetter/Gabriele Klein (Hg.), Methoden der Tanzwissenschaft. Modellanalysen zu Pina Bauschs „Le Sacre du Printemps“, Transcript, 2007
あらかじめ上記の教科書を購入してください。