※フランス文学特殊研究
フランス・フィクション論の展開

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
塚本 昌則 講師 4 3~4 通年 4

授業の目的・内容

近年、ジュネットやシェフェールなどが虚構について論じ、文学をめぐる閉塞感を打ち破ろうとしています。現実との関係において、虚構世界の構築は避けられない、虚構作品の制作・消費はその延長上にあるという彼らの議論を、講義と演習を交えて検討する予定です。積極的な授業への参加を期待します。

授業計画

初めにシェフェールが『なぜ、虚構なのか?』(一九九九年)で展開している議論を、テクスト読解と要約を交えて紹介します(1〜3回)。その後はジッドの『贋金つくり』(一九二五年)を講読します。ブルトンの『シュルレアリスム宣言』(一九二四年)と同時代のこの小説は、「現実が提供する事実と、観念的な現実との闘争」そのものを主題としています。この作品の読解を通して、虚構そのものを主題とする小説が書かれた時代背景を探り、このメタ・フィクションの射程を考察します。
第2学期は、最初にジュネットの『フィクションとディクション』(一九九一年)を、テクスト読解と要約を交えて紹介します(16〜17回)。この虚構論では読者の存在が大きく問題にされています。このテーマをめぐって、フロベール『ボヴァリー夫人』など〈読書〉が大きな意味を持つ小説の一部、さらには批評家ロラン・バルトや歴史家ロジェ・シャルチエなどの読書論をプリントで講読する予定です。

授業方法

授業は、講義と演習、ならびに参加者の発表をまじえて進めます。

成績評価の方法

授業への参加度、ならびにレポート

教科書

André Gide, Les faux-monnayeurs, (Folio) Gallimard, 1973

参考文献

Jean-Marie Schaeffer, Pourquoi la fiction, (Poétique) Seuil, 1999
Gérard Genette, Fiction et diction, précédé de "Introduction à l'architexte", (Points Essai) Seuil, 2004
参考書は、プリントで内容を紹介します