財政学(法学部)
財政と税制の経済分析

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
天利 浩 講師 4 2~4 通年 2

授業の目的・内容

政府は、市場や民間の人々に任せておいては十分に行われない分野で重要な役割を果たしています。公的な年金などの社会保障も、私たちの生活設計に欠かせません。しかし、経済が伸び悩む中で、他の先進国よりも速く高齢化が進み、政府債務が膨らんでいる現状では、政府はむしろ若い人々の負担を重くしていると思えるかもしれません。
講義では、経済学の基本的な分析手法を用い、政府が行う経済活動とその影響を分析します。経済学は、限られた資源の制約の下で行う様々な選択を扱うツールを数多くそろえ、公共政策や財源調達が、現在と未来の人々の経済活動に影響を与える場合の分析などに役立ちます。さらに、経済学を土台に、資源を無駄なく利用し、私たちの公平感と合致する制度はどうあるべきかを考察します。
現実の制度は、過去の経済や雇用形態には適合していたものの、時代遅れになってしまったり、導入時以来の政治的妥協の結果であったりするため、大幅な見直しや改革が必要になることがあります。データを用いて財政の現状を把握し、日本と同様な問題に対し、諸外国が実施した改革や規制を学びます。

授業計画

財政学とは、政府の役割
政府の規模、所得再分配機能
市場の失敗
財政の仕組み:日本の財政制度(1)予算制度
財政の仕組み:日本の財政制度(2)日本財政の現状、財政投融資
経済分析の基本:限界概念、需要曲線、供給曲線
経済分析の基本とその応用:余剰分析
市場と効率性
外部性(1)ピグー税
10 外部性(2)コースの定理
11 公共財(1)公共財の性質、公共財の最適供給
12 公共財(2)リンダール均衡
13 中位投票者定理
14 自然独占と料金設定
15 理解度の確認
16 マクロ経済学の基本:GDP、消費、投資
17 景気安定化機能
18 ミクロ経済分析の基本:無差別曲線、最適消費
19 所得効果と代替効果、死重損失
20 租税の基礎理論
21 課税ベースの選択:所得課税と消費課税
22 労働所得税の効果
23 個別物品税の効果
24 利子所得税の効果、資産に対する課税
25 財政収支
26 財政の持続可能性と財政再建
27 公債の負担
28 公的年金
29 地方財政
30 理解度の確認
経済学を理解していただくために、基本的な経済学から講義を開始します。この講義において、経済学は、財政学を理解するための道具なので、経済学を完璧に理解するよりも、経済学の基礎をしっかりと理解した上で、財政全般について偏りのない視点を持つ方が重要です。

授業方法

日本の財政や税制について適切な題材を取り上げて講義をする予定です。
経済学を学ぶためにプリントを使って補足します。講義内容を理解しているか把握する目的で定期的に宿題(及び授業内テスト)を課します。
宿題や授業内テストは、単位修得の上で考慮される可能性はあるものの、点数化して成績評価に反映されることはありません。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する
第2学期 (学年末試験) :試験を実施する

教科書

特に指定しない。

参考文献

財務省大臣官房企画調査課長 編図説 日本の財政東洋経済新報社
財務省主税局調査課長 編図説 日本の税制財経詳報社
麻生良文 著公共経済学有斐閣1998年、ISBN:4641160473
畑農鋭矢、林正義、吉田浩 著財政学をつかむ有斐閣2008年、ISBN:9784641177079
小塩隆士 著コア・テキスト 財政学新世社2002年、ISBN:4883840522
西沢和彦 著税と社会保障の抜本改革日本経済新聞社2011年、ISBN:9784532491239
授業の中で指示する。