日本文学史概説Ⅱ
江戸文学における絵画

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
藤澤 茜 講師 4 1~4 通年 3

授業の目的・内容

現在、アニメーションと並び日本のマンガは世界的に注目を集めているが、絵と文章が合体した江戸時代の小説、黄表紙はその元祖といわれる。庶民文化が開花し印刷技術が発達した江戸時代には、様々な形態の小説が刊行され、その多くが挿絵を伴い、視覚に訴える本作りが行われたことは注目される。
合巻『偐紫田舎源氏』など、浮世絵師が担当した挿絵の人気に支えられたヒット小説も多い。読本の分野では、葛飾北斎の巧みな描写が印象深く、読者に物語への深い理解とインパクトを与えている。
この授業では、主に江戸の小説と挿絵・絵画(主に浮世絵)との関係を考えながら、江戸文化における文学の位置づけを行うとともに、その魅力にせまりたい。

授業計画

ガイダンス・江戸文化の広がり
江戸時代の出版文化―小説・かわら版・浮世絵
寺子屋の普及と江戸の教育―江戸庶民の常識を知る
仮名草子(1)『仁勢物語』―古典文学のパロディを楽しむ
仮名草子(2)『伽婢子』―怪談小説の流行
浮世草子(1)井原西鶴『好色一代男』①
浮世草子(2)井原西鶴『好色一代男』②
浮世草子(3)井原西鶴『好色五人女』
浮世草子(4)井原西鶴『西鶴諸国はなし』
10 草双紙の流れ・黄表紙『金々先生栄花夢』
11 黄表紙『江戸生艶気樺焼』
12 合巻の人気と挿絵の表現
13 合巻『偐紫田舎源氏』①
14 合巻『偐紫田舎源氏』②
15 予備日
16 滑稽本 十返舎一九『東海道中膝栗毛』
17 人情本 為永春水『春色梅児誉美』
18 読本(1)上田秋成『雨月物語』①
19 読本(2)上田秋成『雨月物語』②
20 読本(3)曲亭馬琴『椿説弓張月』①
21 読本(4)曲亭馬琴『椿説弓張月』②
22 読本(5)曲亭馬琴『南総里見八犬伝』①
23 読本(6)曲亭馬琴『南総里見八犬伝』②
24 読本(7)柳亭種彦『霜夜星』と北斎の挿絵
25 人形浄瑠璃・歌舞伎「義経千本桜」
26 歌舞伎十八番と市川團十郎
27 「仮名手本忠臣蔵」と「東海道四谷怪談」
28 歌舞伎と文学―『児雷也豪傑譚話』を中心に
29 授業の総括
30 予備日

授業方法

講義形式。パワーポイント、ビデオ等を使用し、視覚的にも分かりやすく説明する。毎回ではないが、授業内容に関するコメント提出を課すこともある。

成績評価の方法

第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
学年末試験の他、小レポート(夏休み明けに提出)、平常点(出席状況、コメントの内容等)を総合的に判断して評価する。

教科書

なし。適宜プリントを配布する。

参考文献

鈴木健一江戸の詩歌と小説を知る本版、笠間書院2006年、ISBN:9784305703149
辻惟雄奇想の江戸挿絵版、集英社2008年、ISBN:9784087204407
藤澤 茜歌川派の浮世絵と江戸出版界改訂版、勉誠出版2001年、ISBN:9784585100812

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

講師所蔵の江戸時代の版本、浮世絵(約百五十年前に出版)を持参する機会を設ける。実際に間近で確認し、江戸文化を肌で感じてほしい。また希望者がいれば、江戸時代の版本の綴じ方に関するレクチャーも行う。