日本文学演習
「仕事」から読む文学

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
大原 祐治 講師 4 2~4 通年 5

授業の目的・内容

この授業では、文学作品に描かれた「仕事」のありようを考えることを通じて、人と社会の関係性について考察していきたい。明治期(泉鏡花・樋口一葉など)から現代(村上春樹・角田光代など)に至るまでの間に書かれた様々な作品に接することで、それぞれの時代の固有性と時代を超えた普遍性という両面からの考察を行えればと考えている。『文学で考える〈仕事〉の百年』所収の作品の他、現代社会と「仕事」について考えるべく、ごく近年に発表されたばかりの現代文学作品(海猫沢めろん『ニコニコ時給800円』、西村賢太『苦役列車』、川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』など)も取り上げたいと考えている(詳細は参加者と相談の予定)。 

授業計画

ガイダンスおよびスケジュールの確定
泉鏡花「海城発電」について【講義】
参加者による発表と討議 樋口一葉「にごりえ」その1
参加者による発表と討議 樋口一葉「にごりえ」その2
参加者による発表と討議 正宗白鳥「塵埃」その1
参加者による発表と討議 正宗白鳥「塵埃」その2
参加者による発表と討議 谷崎潤一郎「小さな王国」その1
参加者による発表と討議 谷崎潤一郎「小さな王国」その2
参加者による発表と討議 吉屋信子「ヒヤシンス」その1
10 参加者による発表と討議 吉屋信子「ヒヤシンス」その2
11 参加者による発表と討議 葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」その1
12 参加者による発表と討議 葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」その2
13 参加者による発表と討議 王昶雄「奔流」その1
14 参加者による発表と討議 王昶雄「奔流」その2
15 総括
16 第1学期末レポートの返却および講評
17 参加者による発表と討議 井伏鱒二「遙拝隊長」その1
18 参加者による発表と討議 井伏鱒二「遙拝隊長」その2
19 参加者による発表と討議 坂口安吾「続戦争と一人の女」その1
20 参加者による発表と討議 坂口安吾「続戦争と一人の女」その2
21 参加者による発表と討議 庄野潤三「プールサイド小景」その1
22 参加者による発表と討議 庄野潤三「プールサイド小景」その2
23 参加者による発表と討議 村上春樹「午後の最後の芝生」その1
24 参加者による発表と討議 村上春樹「午後の最後の芝生」その2
25 参加者による発表と討議 角田光代「橋の向こうの墓地」その1
26 参加者による発表と討議 角田光代「橋の向こうの墓地」その2
27 参加者による発表と討議 現代文学における「仕事」その1
28 参加者による発表と討議 現代文学における「仕事」その2
29 参加者による発表と討議 現代文学における「仕事」その3
30 総括
取り上げる作家・作品および順序については参加者と相談の上で最終決定する予定。

授業方法

参加者は、発表者(レジュメを用意する)および代表質問者(1名~数名、レジュメ不要)を少なくとも1回ずつ担当することが求められる。発表者による報告の後、代表質問者との質疑応答を行い、さらに他の受講者も交えた討議を行う。発表者・代表質問者以外の参加者には、適宜コメントシートを記入してもらう予定。ただし、参加者数に応じて適宜、調整を行う。

成績評価の方法

平常点およびレポート課題
平常点(発表内容および討議時のコメント等)およびレポート(第1学期末、学年末)によって総合的に評価する。 

教科書

飯田祐子・日高佳紀・日比嘉高(編)文学で考える〈仕事〉の百年双文社出版2010年、ISBN:9784881640876

参考文献

鷲田清一だれのための仕事』(講談社学術文庫第1版、講談社2011年、ISBN:9784062920872

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。