文学・文化 講義(2)
G.マーラーにみる音楽と文学

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
光野 正幸 講師 2 1~4 第2学期 4

授業の目的・内容

世紀転換期のウィーンには多様な文化が花を咲かせたが、音楽のジャンルではグスタフ・マーラーが宮廷歌劇場の指揮者として活躍するとともに、作曲家としても歌曲と交響曲という十九世紀ドイツ音楽が発展させた二つの領域を「融合」し、独自の境地を拓いた。本講義では交響曲を中心に、マーラーの主要な作品を採りあげて鑑賞しながら、彼の音楽史上における意義を考察するとともに、世紀転換期のウィーン文化の全体像のなかにマーラーという作曲家を位置づけようと試みる。

授業計画

イントロダクション ~ウィーンの「世紀末」とグスタフ・マーラー~
音楽史的序説(1)~ジャンルとしての「交響曲 Symphonie」の発展~
音楽史的序説(2)~ジャンルとしての「ドイツ・リート」の発展~
マーラーの作品(1)~『嘆きの歌』(初稿1880)~
マーラーの作品(2)~交響曲第一番「巨人」~
マーラーの作品(3)~歌曲集『子供の魔法の角笛』より~
マーラーの作品(4)~交響曲第二番「復活」~
マーラーの作品(5)~交響曲第三番・第四番「大いなる喜びへの賛歌」~
マーラーの作品(6)~交響曲第五番・第六番「悲劇的」~
10 マーラーの作品(7)~交響曲第七番「夜の歌」~
11 マーラーの作品(8)~交響曲第八番「千人」~
12 マーラーの作品(9)~『大地の歌』~
13 マーラーの作品(10)~交響曲第九番~
14 全体の総括 ~音楽史上のマーラーの意義: リヒャルト・シュトラウス、新ウィーン楽派とマーラー~
15 理解度の確認
作曲家グスタフ・マーラーを題材に採りあげる以上、クラシック音楽の話題が中心になるのは当然のことだが、話はしばしば文学、思想、美術にも、また文化政策一般にまでも「飛び火」する筈で、いわば文化史研究のケース・スタディとしての「マーラー論」を展開する予定。

授業方法

時間の許すかぎりDVDまたはブルーレイ・ディスクを利用して、採りあげる作品の上演例を紹介しながら講義を進める。

成績評価の方法

第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
持ち込み自由(ただし電子機器類を除く)

参考文献

渡辺 裕マーラーと世紀末ウィーン』(岩波現代文庫岩波書店2004年、ISBN:9784006020828
金 聖響/玉木 正之マーラーの交響曲』(講談社現代新書講談社2011年、ISBN:9784062881326
田村 和紀夫交響曲入門』(講談社選書メチエ講談社2011年、ISBN:9784062584913
その他、随時指示する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

クラシック音楽は「かたぐるしい」と思いこんで敬遠している若者が多いかもしれないが、近代ヨーロッパ文化の構成要素として最も重要と言っても過言ではないこのジャンルに、ぜひ一度は関心の眼を向けてもらいたい。もちろん、その一方で従来から西洋音楽に熱烈な興味を抱き、自身でもオーケストラに所属するなどして、すでにプロにも劣らぬ知識と技倆を蓄えている諸兄諸姉も必ずやおられることと思う。そうした方々にも、新たな文脈を発見する機会が提供できれば、これ以上に嬉しいことはない。