数学講話2
江戸時代の数学の歴史

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
小川 束 講師 2 2 集中(第2学期)    

授業の目的・内容

数学には時代や地域を越えた普遍性がある一方、歴史的には時代や地域によって大きく異なる発展をしました。今回は江戸時代の日本の数学を中心にしながら、数学の本質、数学と人との関わり、数学と社会との関わりを考えます。主に採り上げる話題は建部賢弘(1664-1739)、安島直円(1739-1798)、ホイヘンス(1629-1695)の円周率の計算です。

授業計画

日本の数学史を概観します。
建部賢弘(たけべかたひろ)の『綴術算経(てつじゅつさんけい)』にある円周率の計算を紹介します。
なぜ建部賢弘は円周率の計算をしたのか、その歴史的背景を探ります。
リチャードソン補外について復習をして、建部賢弘の計算の本質を検討します。
建部賢弘の円弧の長さの計算を紹介します。
建部以降の円周率計算はどのように展開したのか、安島直円(あじまなおのぶ)の『弧背術解』を読んでみます。
安島直円の円周率計算について考察します。
安島直円が用いた二項展開について補足をします。
ホイヘンスのDe Circuli Magnitudine Inventa(円の大きさの発見)にある円周率の計算を紹介します。
10 ヨーロッパと日本の数学観を比較検討して、それぞれの数学の特質を探ります。
11 建部賢弘の『綴術算経』の「自質の説」を読んで建部の数学観、数学者観を読み解きます。
12 明治時代における西洋数学の導入について講義します。
13 数学史の研究の最前線を紹介します。
14 全体のまとめをします。
15 予備日
数学を学ぶ際の励ましとなるような、また卒業後就職しようと考えている上級生には15年以上も学んだ数学とは一体何だったのか振り返ってもらえるような、さらに大学院へ進学をしようと考えている人には勇気と決意を新たにできるような講義にしたいと考えています。

授業方法

集中講義なので受講生と相談しながら内容、進度を調整します。

成績評価の方法

レポート。

教科書

特にありません。必要に応じて資料を配布します。

参考文献

小川束・平野葉一数学の歴史』(講座数学の考え方朝倉書店2003年、ISBN:4254116047
そのほか授業中にも紹介します。