※哲学演習
認識論の歩み:トマス・リード

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
下川 潔 教授 4 D/M 通年 3

授業の目的・内容

「認識論の歩み」という題で毎年開講している演習だが、今年度は18世紀の認識論の流れの中でデカルト以降の観念説、とりわけヒューム認識論に見られる懐疑主義を克服し、それに取って代わるものとして登場したトマス・リードの「常識哲学」について学びたい。リードはデカルト、マルブランシュ、バークリ、ロック、ヒュームらの認識論の伝統を批判し、新しいタイプの実在論と新しい哲学的実践を提唱しているように見える。カントの批判哲学ほどのスケールの大きさはないかもしれないが、リードの哲学はこれまでやはり過小評価されてきたように思われる。そこで本年度は、リードだけ、しかも彼のAn Inquiry into the Human Mind on the Principles of Common Senseに的を絞りたい。リードの哲学がいかなる仕方で観念説と懐疑主義を克服しているかを理解し、そのうえで彼の哲学の価値をどう評価したらよいかを考えてみたい。リードは近代哲学の優れた批判者である。それゆえ、彼の著作を熟読すれば、デカルトからヒュームに至るまでの認識論をどうとらえるべきかについて私たちは貴重な示唆を得ることができるのではないかと思う。
どの版を使用するか、プリントで配布するかどうかといったことを現在検討している。演習開始のときまでには皆さんにお知らせしたい。

授業計画

授業方法の説明、リードの生涯と著作についての説明、メインテクストと精読個所の決定
リードのInquiryを読む。
同上
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12 リードのInquiryの暫定的評価
13 同上
14 第1学期の総括と夏休みの課題の提示
15 自主研究
16 リードのInquiryを読む。
17 同上
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26 リードの哲学を評価する試み
(その1)
27 リードの哲学を評価する試み
(その2)
28 リードの哲学を評価する試み
(その3)
29 総括と学年末課題の提示
30 自主研究
演習開始後にスケジュール表を配布する。学習効果を上げるために、原典だけでなくときおり翻訳も使用する。しかし、やはり英文原典を厳密に読解する作業が中心になる。予習は不可欠である。

授業方法

この演習に参加する人は、必ず原典の指定した個所を予習してきてほしい、必要に応じて、特定の人に調査と発表を依頼する。そのときにはレジュメを作成して発表をおこなうこと。

成績評価の方法

学年末論文を提出してもらう。
平常点(出席、予習、発表、討論への貢献)と学年末論文を総合して評価する。

教科書

原典からの抜粋は、主にプリントで配布する予定。ただし、テクストを一冊購入してもらう場合には、演習開始時ごろまでに指示したい。