※哲学演習
「現象学的還元」の現象学

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
中山 純一 講師 4 D/M 通年 1

授業の目的・内容

本演習では、E.フッサールの「還元」の思想を読み解く。
フッサールにとって、「還元」は単なる方法的意義のみを有するのではない。彼自身が晩年に至るまで繰り返した更なる「還元」の行使、そしてかかる「還元」の反復それじたいの記述から明らかなように、「現象学的還元」の現象学とは現象学の自己批判的分析そのものに他ならない。こうした現象学の自己批判的分析を通じて、純粋意識を内在的に記述するという方法的立場から、「還元すること」を哲学者(現象学者)の行為として実践的に主題化する地平が開かれることになる。
本演習では、こうしたフッサールの「還元」思想の展開を背景として、フッサール著作集第34巻『現象学的還元について』(Husserliana Bd.XXXIV, Zur phaenomenologischen Reduktion, Kluwer Academic Publishers, 2002)をテキストに、読解していく。また近年、H.R.ゼップ、N.ドゥプラズらによって盛んに議論されている「還元の実践」の問題系や、「生命の現象学」を参照することで、フッサールの「還元」思想の応用的展開の方向性を議論する。
以上を通じて、我々が到達すべき目標を、現象学における「還元」の方法的(原理的)かつ実践的意義を理解すること、に設定する。

授業計画

【第1学期】:本演習のガイダンス(詳細な指導方式、演習の形態、テキストの背景についての伝達)
本演習の開始(フッサールの「還元」思想についての解説)
テキスト第4番「超越論的エポケーと超越論的還元 無関与な観視者の設立」(1926年秋)読解
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14 第1学期の理解度の確認
15 自主研究
16 【第2学期】:テキスト第5番「超越論的態度から自然的生の積極性のうちへの還帰 超越論的態度のうちでの生のあり方の変化」(1926年秋)読解
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29 第2学期の理解度の確認
30 自主研究
本演習は現象学入門に位置づけられる。したがって、現象学について学んでいる学生以外にも、現象学に関心のある学生も歓迎する。また、自己の身体のあり方・動かし方や、感情の自己感触の経験に関心のある学生(スポーツ、武道、芸術等経験者)の参加も歓迎する。

授業方法

授業は、各回に一名の訳出者を割り当て、訳文を参加人数分プリントアウトしてもらい、読解していく。
訳は文法・語法を確認し、その後に内容について解説・議論する。
テキストはドイツ語である。ドイツ語初級者や、ドイツ語を学び始めながら読む者の参加も可とする。

成績評価の方法

①平常点、②第1学期末のレポート、③第1学期レポートのフィードバック(第2学期中)、以上三点で評価する。
①の平常点は、授業中の議論への貢献度(発言の頻度、課題発見力、課題解決力)によって評価する。
②、③のレポートは、第1学期末にテーマを設定し、夏季休暇中に作成し、第2学期開始日に提出。その後、同レポートを第2学期中に振り返り、修正作業を行ってもらい、第2学期末に提出してもらう。この一連の作業を総合的に評価する。

参考文献

参考文献に関しては、必要に応じてそのつど教場で提示する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。