※思想史演習
西洋近代とエピクロス主義

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
下川 潔 教授 4 D/M 通年 2

授業の目的・内容

近年の哲学史・思想史研究によれば、西洋近代哲学の生成においてはエピクロス主義が非常に重要な役割を果たしたとされている。原子論、唯物論、宗教批判、社会契約論など一連の重要な近代的思考枠組は、古代のエピクロスに由来し、ルクレティウスやキケロを通じて広く知られることになった立場、端的に言えば、迷信をしりぞけ現世の快と経験を重視してよく生きるべしという立場と深い関係があるとされている。この演習では、ホッブズ、ロック、マンデヴィル、ヒューム、ベンサム、ミルらの近代ブリテンの哲学者をとりあげ、彼らの思考がどのような仕方でエピクロス主義とかかわっているかを探ることにしたい。
手順としては、まずエピクロスの『主要教説』やルクレティウスの著作を読み、その後で17世紀のガッサンディとエピクロス主義の関係を押さえたうえで、本論にはいる。ホッブズ、ロック、マンデヴィル、ヒューム、ベンサム、ミルなど、17世紀から19世紀にかけてのブリテンの哲学者たちが、いかにエピクロス主義と関わりをもち、かつ独自の思想を形成したかを明らかにしたい。このような作業を通じて、西洋近代の思想史、とりわけ近代ブリテンの思想史を深いレベルで理解するのが本演習の目的である。

授業計画

演習の目的と方針の説明、大まかなスケジュールの提示、テクストの指定
エピクロスと近代エピクロス主義(序論)
エピクロス、ルクレティウス、キケロからの抜粋を読む。
同上
近代エピクロス主義(フランス)
近代エピクロス主義(ブリテン)
ホッブズとエピクロス主義
同上
10
11 ロックとエピクロス主義
12 同上
13
14 第1学期の総括
15 自主研究
16 マンデヴィルとエピクロス主義
17 同上
18
19 ヒュームとエピクロス主義
20 同上
21
22 ベンサムとエピクロス主義
23 同上
24
25 ミルとエピクロス主義
26 同上
27
28
29 第2学期の総括
30 自主研究

授業方法

指定テクストの精読と自由な研究発表を組み合わせて演習を行う。精読用の指定テクストはプリントで配布する。(1)精読のための予習、(2)関心をもった哲学者についての自由な調査と活発な討論、これら二つがこの演習を支える重要な柱である。

成績評価の方法

学年末論文を提出してもらう。
平常点(出席、発表、討論への貢献)と学年末論文を総合して評価する。

参考文献

授業中に適宜指示する。