● 無機化学特論Ⅱ

この講義では、固体における電子構造と化学結合について理解を深めることを目的とする。R. Hoffmannが、化学者に固体の電子物性への関心をもたせることを意識して著した　"Solids and Surfaces: A Chemist's View of Bonding in Extended Structures”を教科書として、分子軌道から固体の電子構造へ拡張する考え方を学ぶ。その中で、理解のために必要な分子軌道法の基礎や物質の対称性についても復習する。

１	概論
２	物質の対称性　対称操作
３	物質の対称性　点群
４	物質の対称性　空間群と結晶
５	分子軌道法の基礎
６	分子から固体へ（１）　分子軌道からバンドへの拡張　一次元の場合
７	分子から固体へ（２）　バンド幅とバンド構造
８	分子から固体へ（３）　分子軌道からバンドへの拡張　二次元の場合
９	分子から固体へ（４）　状態密度とCrystal orbital overlap population
10	分子から固体へ（５）　分子軌道からバンドへの拡張　三次元の場合
11	実際の固体物質への応用（１）
12	実際の固体物質への応用（２）
13	実際の固体物質への応用（３）
14	理解度の確認
15	予備日

講義形式でおこなう。
必要に応じてプリントを配布する。

第1学期 （学期末試験） ：試験を実施する

Roald Hoffmann, Solids and Surfaces: A Chemist's View of Bonding in Extended Structures, Wiley-VCH, 1988

今野豊彦『物質の対称性と群論』初版、共立出版、2001年
Jeremy K. Burdett, Chemical Bonding in Solids, Oxford University Press, 1995
T. A. Albright, J. K. Burdett and M. H. Whangbo, Orbital Interactions in Chemistry, Wiley-Interscience, 1985
講義時に原著論文を紹介する。

第1回目の授業に必ず出席のこと。