博物館実習
実務的な技術と知識を学ぶ

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
第1学期 小松 大秀 講師
第2学期 田辺 龍太 講師
3 4 通年 2

授業の目的・内容

博物館、美術館に勤務する学芸員の主な業務は、作品の保存管理、収集、展示、研究である。本実習では、博物館・美術館のもの"を次世代につなぐ使命を理解し、実際の展示施設ではどのように仕事がおこなわれているかを、具体的に学ぶことで、展覧会を「見る側」に立っている履修生が、実習を経て「見せる側」の視点を確立すること、博物館・美術館で、学芸員として働くうえで必要な基礎を、実践的に習得することを目的とする。

授業計画

オリエンテーション(第1学期ガイダンス)
もしも博物館に勤めたら① 博物館の存在意義、わが国における博物館の成り立ち
もしも博物館に勤めたら② 博物館における日常業務の内容
もしも博物館に勤めたら③ 博物館に勤務する研究員に求められる資質
もしも博物館に勤めたら④ 博物館に勤務する研究員に求められる技術
見学実習の準備 東京国立博物館見学に向けて、同館の成り立ち、特色、展示コンセプトを知る
見学実習① 東京国立博物館見学 展示方法などについて学ぶ
取扱実習の準備 作品を取り扱う際のマナー、注意事項について
作品取扱① 彫刻作品について実際の取扱、梱包をおこなう
10 作品取扱② 絵画作品のうちの掛軸について保存箱から取り出し、取扱、収納をおこなう
11 作品取扱③ 絵画作品のうちの絵巻などの巻子本について開帳、収納をおこなう
12 作品取扱④ 絵画作品のうちの屏風について保存箱から取り出し、開帳、収納をおこなう
13 作品取扱⑤ 工芸作品のうちの陶磁器について保存箱から取り出し、収納をおこなう
14 作品取扱⑥ 工芸作品のうちの漆芸品と金工品について保存箱から取り出し、収納をおこなう
15 ディスカッションを通じて、第1学期のまとめをする
16 オリエンテーション(第2学期ガイダンス)
17 博物館・美術館の現実を考える
18 もの"の収集と管理 実際の収集品について、その収集の理念やコンセプトを探る
19 もの"の保存と活用 実際の収集品を確認、比較し、保存や活用につなげる方法を学ぶ
20 もの"の整理と研究 もの"から知ったこと(整理と研究=情報)を相手に伝えることに取り組む
21 見学実習② 東京国立博物館見学 研究員の学術的成果が展示、講演会、教育普及に反映されることを知る
22 企画立案とイベントの実状① イベントとは何らかの目的を達成するための手段"として開く行事・催事と認識する
23 企画立案とイベントの実状② 小グループに分かれての実践(複数で意見交換しながら企画を構築する)
24 企画立案とイベントの実状③ 小グループに分かれての実践(来館者へのサービスとリピーター獲得の施策を考える)
25 企画立案とイベントの実状④ 小グループに分かれての実践(他機関、地域との連携を考える)
26 企画立案とイベントの実状⑤ 小グループに分かれての実践(マスコミへのPR戦略を練り、スタッフ間での情報を共有する)
27 企画立案とイベントの実状⑥ 学習院大学敷地内の特徴的な場所を選び、模擬のギャラリートークを実施する
28 各種刊行物を手に取り、良い点と改善点を討論する
29 見学実習③ 切手の博物館見学 小規模館の展示以外での工夫を探る
30 第2学期のまとめ 博物館・美術館の観衆に向けての信頼性、コミュニケーション能力の重要性を再認識する
第1学期の授業は小松大秀講師が担当し、第2学期の授業は田辺龍太講師が担当する。

授業方法

博物館実習は、これまでに単位を修得してきた博物館に関する科目で得た知識を実践に移す機会であり、また展示施設で働くために必要な実務的知識、技術を学ぶ科目である。なかでも、とくに重要なのは作品を取り扱う際に必要な知識と技術であり、これに多くの時間をあてることによって、学芸員の仕事への理解を深める。また、学外施設への見学実習を通じて、さまざまな施設の特色を学び、博物館と学芸員の仕事について、さらに考察を進める機会としたい。第2学期の授業では、学芸員としての技術と知識の習得に関してもの"や他者"との直接的な交流が必要であることを、実体験や実技を通して習得する。

成績評価の方法

授業や見学実習への出席状況、発表、レポート、館園実習(実習記録等)などの結果によって、総合的な評価をおこなう。

参考文献

授業時に随時紹介する。

その他

履習に際しては、通年授業の他に、学芸員課程事務室主催のガイダンスへの出席及び館園での実習への参加が義務となっているので、留意すること。