商法演習
会社法は不祥事を防げるか

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
小塚 荘一郎 教授 4 3~4 通年 2

授業の目的・内容

例年と同じく、会社法および商法が、現実の社会の中でどのように使われているかを実感することを目標にします。
今年度は、粉飾決算や事故隠しなどの「不祥事」について、会社法ではどのようなことができるのかを考えます。そうした不祥事は、しばしば新聞やテレビのニュースを賑わせますが、どうしたらそのような事態を防げるのか、万一、不祥事が起こってしまったときはどのように対応したらよいか、といったことは、ニュースでは教えてくれません。会社に関する法律問題なので、会社法の教科書を読めばわかるかと思っても、分厚い教科書でさえ、直接的な答えは、なかなか書いてありません。しかし、会社の法務に携わる人たちの間では、この問題は「コンプライアンス」(法令遵守)と呼ばれ、大きな関心を集めています。
まず、第1学期は、マイケル・ウッドフォード『解任』(早川書房)やジェフリー・ライカー『トヨタ 危機の教訓』(日経BP社)といった一般書を読むことから始めましょう。どちらも、大きく報道された話題ですが、その中で、どこに法律(会社法)の問題があるのか、を考えることが重要です。その後で、コンプライアンスに関する理論的な文献(弁護士などが書いたもの)を読んでいきます。
第2学期には、例年、判例の読み方についてのトレーニングをすることにしています。今年は、第1学期のテーマに合わせて、会社法の判例の中で、コンプライアンスに関係する事件を取り上げます。それを通じて、第1学期に勉強した問題を法律論として議論するとどうなるか、ということを考えてみて下さい。会社法の改正が近づいてきたら、その内容も検討して、コンプライアンスの問題に対してどのような効果が期待できるかについても議論しましょう。
また、実際の企業活動の中で、法律問題がどのようにかかわってくるかを実感するために、実務に携わる方々のお話を伺う機会も作りたいと思います。昨年は、総合商社と航空会社の法務部の方をお招きしたほか、最高裁判所の見学に行きました。今年も、そうした機会を何回か持ちたいと思っています。

授業計画

進め方の説明
参加者による報告・討議(『解任』輪読)
参加者による報告・討議(『トヨタ 危機の教訓』輪読)
参加者による報告・討議(コンプライアンス文献講読)
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13 参加者による報告・討議(第1学期のまとめ)
14 参加者による報告・討議(ゲスト・スピーカー)
15 予備日
16 参加者による報告・討議(コンプライアンス判例研究)
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28 参加者による報告・討議(1年間のまとめ)
29 参加者による報告・討議(見学)
30 予備日

授業方法

演習なので、その日の担当になっていない皆さんも、積極的に発言したり議論したりして下さい。

成績評価の方法

担当回の発表とその他の回の参加状況を総合して評価します。

教科書

授業の進行に合わせて、適宜、指示または配布します。

履修上の注意

履修者数制限あり。(20名)
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

参加方法については、法学科の演習案内をよく読んで下さい。また、「商法Ⅰ」「商法Ⅱ」のどちらも取ったことがない人が参加を希望する場合には、演習と並行して、少なくとも一方を受講して下さい。