● 国際政治史Ⅱ
―戦後ヨーロッパの国際政治史―

本講義では、第１学期に開講される「国際政治史Ⅰ」の続きとして、戦後ヨーロッパ国際政治史を扱う。
「国際政治史」とは、日本におけるその草分け的存在である岡義武によれば、単に「国際政治の推移を現象的に述べる」ものではなく、「国際政治の構造の歴史的変化を基底としつつ、国際関係の変動して来たその基本的動向を描く」試みである（『国際政治史』岩波現代文庫、2009年）。また、高橋進によれば、「国際政治史」とは「政治学の理論、とくに政治史学、国際政治学、比較政治学を取り込んで、国内体制間関係を描く学問」である（『国際政治史の理論』岩波現代文庫、2008年）。
本講義では、これらの定義を念頭に、世界大戦や冷戦がもたらした国際政治のマクロな構造変動に留意しつつ、第二次世界大戦後のヨーロッパの国際政治の展開を、冷戦とヨーロッパ統合の双方に焦点を当てて論じていく。その際、従来の外交史や国際関係史よりも、国内体制やイデオロギー要因に目を向けることになろう。
なお、本講義は「国際政治史Ⅰ」と連続しており、「Ⅰ」を履修していない者には余りお勧めできない。

１	冷戦史とヨーロッパ統合史の交錯
２	分断される世界：冷戦の本格化
３	統合の生成：ヨーロッパ運動、欧州審議会、シューマン・プラン
４	ドイツ再軍備をめぐるドラマ
５	ローマ条約への道
６	脱植民地化と西欧諸国：「帝国」から「ヨーロッパ」へ？
７	ドイツとイスラエルの「接近と和解」
８	危機と安定：ベルリンとキューバ
９	ド・ゴールの挑戦
10	東方政策という革新
11	デタントとは何だったのか
12	「新冷戦」から冷戦の終焉へ
13	ドイツ統一をめぐるドラマ
14	冷戦後のヨーロッパ国際秩序
15	総括

進行状況に応じて、内容は変動しうる。

講義形式。テーマごとにレジュメを配布する。

第2学期 （学年末試験） ：試験を実施する

遠藤乾（編）『ヨーロッパ統合史』名古屋大学出版会、2008年

遠藤乾（編）『原典ヨーロッパ統合史―史料と解説』名古屋大学出版会、2008年
渡邊啓貴（編）『ヨーロッパ国際関係史―繁栄と凋落、そして再生』（有斐閣アルマ）新版、有斐閣、2008年
トニー・ジャット『ヨーロッパ戦後史』（全2巻、森本醇・浅沼澄訳）みすず書房、2008年
細谷雄一（編）『イギリスとヨーロッパ―孤立と統合の二百年』勁草書房、2009年
吉田徹（編）『ヨーロッパ統合とフランス―偉大さを求めた1世紀』法律文化社、2012年
遠藤乾・板橋拓己（編）『複数のヨーロッパ―欧州統合史のフロンティア』北海道大学出版会、2011年
その他、テーマごとに詳細な参考文献リストを配布する。

講義はあくまで思考するきっかけに過ぎない。少しでも興味を持ったトピックがあったなら、関連文献をどんどん読み進めていってほしい。
なお、担当者は非常勤講師なので、質問等については講義直後に対応する。