経済学特殊講義(保険論)
“生きる力”を身につけよう

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
武石 誠 講師 4 1~4 通年 2

授業の目的・内容

皆さんは自分の人生のゴール、ゴールまでの人生について考えたことがありますか。
これから社会人になる皆さん方にとって、自分の人生をデザインすることは就職活動をするうえで重要な意味をもっています。
そして自分らしい人生を送るうえで社会人として必要な能力があります。それが“生きる力”なのです。
“生きる力”とは一体どのような能力なのでしょうか。
“生きる力”とは、具体的には自分で自分の人生をデザインする、つまり、より良い人生、自分らしい人生を送るために自分の人生を主体的・能動的にマネジメントする能力です。
それでは「保険論」と“生きる力”とは一体どのような関係があるのでしょうか。保険の目的、日常生活における活用シーンを思い起こしてみましょう。
保険とは日常生活における各種リスクにより発生した経済的ダメージを軽減・回復するための有効な手法の一つです。つまりより良い人生、自分らしい人生をおくるために必要な“生きる力”を構成する重要な手段の一つなのです。
つまり、保険とは自分らしい人生を送るために必要なもので、自分の人生をデザインすることなしに保険の有効活用はありえません。保険を効果的に活用するということは、自分がデザインした人生をマネジメントすることにほかなりません。
そこで、本授業ではこれから社会に巣立っていく皆さん方に“生きる力”を身につけてもらうことを目的としています。具体的には“自分の頭で考え、判断し、行動することが出来る力”、“主体的・能動的に人生を送る力”を養うことを目的にしています。
これはこれからの時代を生きる一人の人間として、そして社会人としての必須能力だからです。
これからの時代に必要なのは、問題を自ら発見し、解決していく力です。特に混沌としている現在、何が問題なのかといった本質を正しく見極める力と、リスク感性(授業の中で説明します)の有無が極めて重要になってきます。
授業では保険を切り口に“生きる力”とは何かを皆さんと一緒に考え、社会人として大きく飛躍するための基礎力の一つでもある“生きる力”を身につけてもらいたいと思っています。
第1学期は“生きる力”の全体像を中心に話しをすすめ、第2学期は具体的な“生きる力”の一つである保険活用力について日常生活に即して、具体的に考えていきたいと思います。

授業計画

ガイダンス
授業の目的、内容と進め方について
リスクは避けるモノか、挑むモノか?ーリスクの本質について理解する
人類は誕生とともに数々のリスクに直面し対処するなかで発展してきた。人類の歴史はリスクとの闘いの歴史でもある。そこで私たちの日常生活において決して避けて通ることのできないリスクについて、リスクの本質とは何かを考える。
リスクなくして保険なしってどういうこと?ーリスクと保険の関係を理解する
リスクと保険の関係について整理し、保険の仕組みを理解する。あわせて日常生活における保険の役割と意義を考える。
保険は万能か?-保険の限界と新たなリスク移転手法について理解する
保険はリスクに対し万能か。リスクと保険の関係からリスク対策としての保険には自ずと限界がある事を理解する。一方、常に新しいリスク、保険で対応できないリスクも次々と発生している。そこで保険で対応できないリスクに対処するため誕生した新しいリスク移転手法としてのART(代替的リスク移転)について考える。
リスクマネジメントって何?ー保険管理からERM(統合マネジメント)の時代へ
リスクマネジメントの誕生と発展について整理し、ビジネス分野におけるリスクマネジメントの意義と役割を考える
リスクマネジメントを実践しようーリスクマネジメントフローについて理解する
人生はとはある意味選択の歴史。よりよい選択をするための意思決定のあり方でもあるリスクマネジメントフローについて考える。
リスク対応策とは何か、その本質を考えるーリスクコントロールとリスクファイナシング
具体的なリスク対策について整理し、リスク対策の意味する本質とは何かを理解する。
ライフリスクとは何か、その本質を考えるーライフステージ固有のリスクについて考える
これからの二大リスクである就労(雇用)リスクと長生きリスクを見える化し、ライフリスクの本質を理解する。
ライフマネジメントとは何か、その本質を考えるー人生をデザインし、マネジメントすることの意味を理解する
何故、今、私たちは人生をデザインすることが重要なのか。そしてこれから社会に巣立っていく皆さん方にとって重要な意味を持つ“生きる力”との関係を考える。
10 キャリアマネジメントとは何か、その本質を考えるー未来行動計画の策定と時間コントロールについて考える
ライフマネジメントの要素の一つが時間管理。キャリアとは一人ひとりの人生のこれまでの証跡で、キャリアを考えることは、すなわち人生=時間をいかに管理・コントロールするかということを理解する。
11 家計マネジメントとは何か、その本質を考えるー未来家計簿を作成と人生の収支バランスについて考える
ライフマネジメントのもう一つの要素がおカネの管理。自分の人生のゴールまでの収支バランスを考えることの意義を理解し、長生きリスクへの備えを考える。
12 ライフプランニングと保険についてー日常生活における保険の効果的活用について考える
日常生活における効果的な保険活用について理解し、保険を“見る眼”“選ぶ力”とは何かを考える
13 ライフプランニングを実践するーライフプランニングシートを活用してライフマネジメントを実践してみよう
自分の人生をデザインするための具体的なノウハウを身につけえる。
14 これまでのまとめ
15 予備日
16 生命保険の生成と発展について
生命保険はどのように誕生し、発展してきたかを考え、生命保険の役割と意義を理解する。
17 損害保険の生成と発展について
損害保険はどのように誕生し、発展してきたかを考え、損害保険の役割と意義を理解する。
18 わが国の生活保障システムの現状とはー三層構造になっているセーフティ-ネットの仕組みを理解する
わが国の生活保障システムは公的な制度と企業等における各種福利厚生制度、そして一人ひとり自らの準備という3つの仕組み(公助・共助そして自助)で成り立っていることを理解する。
19 公的な保障制度(公助)の現状はー社会保険制度を中心に
わが国の社会保障制度の現状と今後の課題について理解する。
20 死亡リスクとは何かー死亡リスクの本質とは何かを考える
死亡リスクの本質を理解し、私たちの日常生活にとっての死亡リスクの意味を考える。
21 死亡リスクに備えようー死亡リスクに対する具体的・効果的な保障のあり方を考える
死亡リスクの本質を理解し、死亡リスクに対する具体的な対応策を考える。
22 長生きリスクとは何か-長生きリスクの本質とは何かを考える
平均寿命が世界トップクラスのわが国において、長生きがリスクと捉えられているが、それは何故かを考え、これからの時代を生きる私たちにとっての長生きリスクのもつ意味を理解する。
23 長生きリスクに備えようー長生きリスクに対する具体的・効果的な保障のあり方を考える
長生きリスクの本質を理解し、長生きリスクに対する具体的な対応策を考える。
24 雇用(収入)リスクとは何かー雇用(収入)リスクの本質とは何かを考える
雇用(収入)リスクの本質を理解し、私たちの日常生活にとっての雇用(収入)リスクの意味を考える。
25 雇用(収入)リスクに備えるには
雇用(収入)リスクの本質を理解し、雇用(収入)リスクに対する具体的は対応策を考ええる
26 クルマのリスクを考える
クルマのリスクの本質を理解し、具体的な対応策を考える。
27 住まいのリスクを考える
住まいのリスクの本質を理解し、具体的な対応策を考える。
28 日常生活における各種ライフリスクと保険について考える
レジャーの多様化等による各種リスクや日常生活における各種リスクと保険の関係について考える
29 ライフマネジメントにおける保険の役割を考える
保険を効果的に活用するための保険を”選ぶ力”について考える
30 総括-1年を振り返って
本授業は保険を切り口に、一人ひとりが人生を真剣に考え、これからの時代を生きる自立した社会人として必要な“生きる力”について一緒に考えていく授業を目指しています。講義方式の授業では皆さん方一人ひとりのニーズを充たすことには限界があります。そこで質問・意見用紙を配布し皆さん方一人ひとりのニーズに応えていきたいと思っています。積極的に質問・意見用紙を活用してください。

授業方法

レジメや新聞記事等に基づいて授業を進めていきます。
また、一人ひとりが自分の頭で考えることの重要性を理解できるよう、質問・意見用紙を取り入れ、提出された質問・意見については、翌週コメントをつけて返却します。

成績評価の方法

第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
任意の夏期レポート
成績評価は原則、学年末試験の評価をもとに行います。
但し、任意の夏期レポート提出者については、学年末試験の評価に反映させる予定。詳細は授業の中で発表します。

教科書

教科書は特に指定しません。
授業の中で適宜紹介する予定

参考文献

授業の中で適宜紹介する予定