美術史講義
19世紀ドイツの芸術家たち―ロマン派を中心に

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
佐藤 直樹 講師 4 2~4 通年 2

授業の目的・内容

19世紀ドイツのロマン派の画家たちの活動は多岐にわたり、その全貌を把握することは容易ではない。C.D.フリードリヒとナザレ派の芸術を見ても、それぞれ「プロテスタント的」「カトリック的」というレッテルが貼られ、一見相反するように思われる。しかし、自然観察において両者は共通の造型志向を持ち合わせており、一概に対立構図のみで捉えることは正しくなさそうだ。本講義では、そうした既成概念にとらわれることなく、19世紀ドイツのアートシーンを再構築することを目的とする。第1学期にはC.D.フリードリヒとナザレ派を中心に、ゲーテやシラーなどの芸術論も合わせて検討しながら19世紀ドイツの芸術環境を総合的に考察する。
第2学期には19世紀ドイツ美術の国際的な広がりに焦点をあわせる。これまで等閑視されてきたドイツ人風景画家J.Ch.ラインハルトを軸に、彼が活躍したローマでの国際交流とパノラマ風景画の生成と発展、またローマで最大の芸術家コロニーを形成していたドイツの芸術家たちとバイエルン王太子フリードリヒ1世の芸術政策などを考察していく。

授業計画

ガイダンス:19世紀ドイツ芸術の状況
C.D.フリードリヒの人生と同世代の画家たち
フリードリヒの芸術1
フリードリヒの芸術2
フィリップ・オットー・ルンゲの芸術
フリードリヒとJ.Ch.ダール、C.G.カールス
画家としてのC.G.カールス
ディレッタントとは何か:ゲーテとシラーの芸術論を中心に
ゲーテとフェリックス・メンデルスゾーンの素描
10 ナザレ派が目指した新芸術
11 フリードリヒ・オーファーベック1
12 フリードリヒ・オーファーベック2
13 オリヴィエ兄弟とフランツ・ホルニー
14 第1学期授業の総括
15 予備日
16 19世紀ローマの芸術環境:外国人芸術家の都
17 ドイツ人芸術コロニーの誕生と発展
18 フランスおよびイギリスの芸術家たちとドイツ人芸術家の関係
19 カール・フィリップ・フォーアの活動と国際的交流
20 風景画家ヨーゼフ・アントン・コッホの活動と交流
21 バイエルン王子ルートヴィヒ1世の芸術政策
22 ユリウス・シュノルのイタリア素描集「風景画帳」
23 風景画家ヨハン・クリスティアン・ラインハルト1
24 ヨハン・クリスティアン・ラインハルト2
25 ヨハン・クリスティアン・ラインハルト3
26 フランス・アカデミー滞在時のアングルと「プチポワンの画家」との関係
27 ラインハルトのパノラマ画1
28 ラインハルトのパノラマ画2
29 第2学期授業の総括
30 予備日

授業方法

毎時間パワーポイントを使用し、多数の画像を見せることとなります。授業中、作品のデータと簡単な概略図をノートすることを勧めます。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する
第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
試験を第1学期第2学期とも、最終授業日に実施します。ノート持ち込み不可。

参考文献

佐藤直樹ドイツ・ロマン主義の風景素描』(展覧会カタログ版、国立西洋美術館2003年、ISBN:9784906536252
H. W. Rott, A. Stolzenburg, Johann Christian Reinhart. Ein detscher Landschaftsmaler in Rom, Hirmer Verlag, 2012, ISBN:9783777480213

その他

美術史を専攻していなくても熱心な学生は聴講歓迎します。