古文書学演習
日本近世文献史料講読

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
山口 和夫 講師 4 2~4 通年 2

授業の目的・内容

日本近世の文書や日記・系譜・金石文などの文献を読解し、史料として活用する力を身につけることを目的に、てほどきする。

授業計画

構想説明、年間計画提示、参加者の専攻・テーマ・関心事聴取、史料講読試行①
史料講読試行②、第1学期計画の策定
史料講読
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14 史料講読、第1学期のまとめ、夏休みの課題指示
15 予備日
16 課題報告・提出、参加者のテーマ・関心事聴取
17 史料講読試行、第2学期当初計画の策定
18 史料講読、第2学期計画の策定
19 史料講読
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28 史料講読、第2学期のまとめ、冬休みの課題指示
29 課題報告・提出、年間のまとめ
30 予備日
日本の近世社会では、多種多様な史料が作成され、機能し、今日に伝存している。
この演習では、公刊史料(活字)と原史料の写真(くずし字)とを併用し、文献史料を講読する。
個々の史料の記載を、当時の音訓・語彙に注意して、素材・形状・様式・機能・伝達回路・授受関係・伝来等の情報や書札礼・古文書学・史料管理学の知見を加味しつつ読み解き、内容理解を期す。
あわせて、関連史料や先行研究・課題に触れ、史料操作・基礎的事実抽出確定・歴史像構成の方法を実践し、近世史料と近世社会について理解を深める一助としたい。
第1学期は指定教科書を主用し、くずし字(史料の図版や写真のコピー)と翻刻文とで漢文・和文(候文)の読みくせ・調べ方の基礎を学び、奉書や書状・訴状・日記・法令等を講読し、近世文の主語・主体等の読み分け方、史料の作成・機能・伝来過程への注意力を体得してゆく。
教科書所収外の素材・テーマについては、履修者の関心・要望を聴取・調整する機会を設け、文書群や日記を読む等、第2学期の授業計画に反映したい。
諸機関の史料展示企画を紹介し、各人が近世史料の実物に接する機会も案内する。
また条件が許せば、史料保存利用機関で近世文書を見学し、史蹟を歩いて江戸・東京の地形・景観・土地利用の変化、遺構や金石文に実際に触れる機会も設けたい。
この内容・計画は、演習の参加人数や進行状況によっては、変更することもあり得る。

授業方法

講読史料は、授業時間に前もって予告または配布する。参加者による輪読と担当者を定めての口頭報告・全員での質疑討論を中心とする。

成績評価の方法

第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
平常点(授業での輪読参加・口頭報告)を重視する。
各学期の課題(口頭報告・紙面提出)と学年度末試験も必須とする。

教科書

藤田覚編・山口和夫等分担執筆史料を読み解く3近世の政治と外交山川出版社2008年、ISBN:9784634590465
第1学期は上記教科書を基本的に用いる予定。その他の講読史料は事前に配布する。

参考文献

児玉幸多編くずし字用例辞典普及版、東京堂出版1993年、ISBN:9784490103335
児玉幸多編くずし字解読辞典普及版、東京堂出版1993年、ISBN:9784490103311
西嶋定生著日本歴史の国際環境』(UP選書東京大学出版会1985年、ISBN:9784130020358
吉田孝著日本の誕生』(岩波新書岩波書店1997年、ISBN:9784004305101
高木昭作著江戸幕府の制度と伝達文書』(角川選書角川書店1999年、ISBN:9784047021099
高木昭作著日本文化研究』(放送大学大学院教材放送大学教育振興会2002年、ISBN:9784595133107
井上勲編日本の時代史29日本史の環境吉川弘文館2004年、ISBN:9784642008297
石上英一編日本の時代史30歴史と素材吉川弘文館2004年、ISBN:9784642008303
歴史学研究会・日本史研究会編日本史講座6近世社会論東京大学出版会2005年、ISBN:9784130251068
山口啓二著鎖国と開国』(岩波現代文庫岩波書店2006年、ISBN:9784006001605
歴史学研究会編・高埜利彦責任編集日本史史料3近世岩波書店2006年、ISBN:9784000261388
上記の他、授業時間に逐次提示・指示する。史学科図書室や大学図書館の辞典(国語・漢和・日葡・和英・国史)、事典(日本史・地名・人名)、絵図・地図・年表等の参考図書、各種目録や索引、『寛永諸家系図伝』・『寛政重修諸家譜』・『断家譜』・『譜牒余録』、自治体史・専門書・学術雑誌等の蔵書や各種データベースを活用して欲しい。
座右にくずし字の解読辞典と教科書が必要となる。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

シラバスを携帯し第1回等各学期の初回・最終回には必ず出席すること。
日本史演習・日本史特殊講義(近世)を履修していることが望ましい(日本近世史以外を専攻する学生を拒むものではない)。
予習・下調べを励行し、参考文献を読み、演習で輪読・発表する等主体的な取り組みを求める。