日本文学研究法
近代文学研究の現在

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
山本 芳明 教授 4 2~4 通年 3

授業の目的・内容

日本近代文学研究の現状を、方法論を中心に概説していくことが、この授業の目的です。研究の歴史がそれほど古いとはいえない近代文学研究ですが、その問題意識の移り変わりには激しいものがありました。特に、1980年代以降、隣接する人文諸科学の最新の学問的な成果を取り入れた研究が盛んになるにつれて、その傾向は加速していきました。しかし、同時に古いタイプの研究の意義がなくなってしまったわけではなく、混沌とした状況に近代文学研究の現在があるといえます。学生は、そうした状況の中で生産された論文を卒業論文作成のために読まざるを得ないのが現実です。したがって、論文を解読し、評価していくためには確かな眼力を養う必要があります。その一助となることを願って、この授業をすすめていきたいと思っています。

授業計画

イントロダクション
近代文学研究史1――全体の流れ
近代文学研究史2――作品論の時代へ
近代文学研究史3――作品論の全盛期
近代文学研究史4――作品論への批判
近代文学研究史5――前田愛登場
近代文学研究史6――前田愛の提起したこと
近代文学研究史7――論争の時代
近代文学研究史8――小森陽一の役割
10 近代文学研究史9――総括
11 小森陽一「『こころ』を生成する『心臓』」を読む1――レポート1の返却と講評
12 小森陽一「『こころ』を生成する『心臓』」を読む2――論文の構造
13 論争の行方1――〈テキスト論〉
14 論争の行方2――方法の多様化へ
15 まとめ
16 語り論入門1――ジュネット以前
17 語り論入門2――ジュネット以後
18 課題論文2の解説
19 レポート2の返却と講評
20 都市論入門
21 課題論文3の解説
22 レポート3の返却と講評
23 文化研究入門1――1990年代
24 文化研究入門2――2000年代
25 課題論文4の解説
26 レポート4の返却と講評
27 フェミニズム批評入門
28 課題論文5の解説
29 レポート5の返却と講評
30 授業のまとめ
テクストとして配付されるプリントを予習し、関連する文献を自主的に読んでいくことが、授業の内容を理解する上で、大変有効な作業となるので、ぜひ努力してください。なお、授業の進行は予定通りにいかないことがありますので、ご注意ください。

授業方法

私が基本的にしゃべりまくると予測されます。しかし、受講者が授業を理解し、その理解を深めるためには、適宜指示した参考文献を読んだり、具体的な分析例として取り上げる論文や作品を熟読するなどの努力が必要です。なお、授業中に課題を与えてレポートを5回提出させる予定です。

成績評価の方法

第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
第1学期末にレポートを課します。
出席状況と授業中に課すレポートなどの平常点を重視します。学年末試験は実施しないこともあります。

教科書

適宜プリントを配付する予定です。

参考文献

石原千秋他読むための理論世織書房
大橋洋一現代批評理論のすべて新書館
大橋洋一新文学入門岩波書店
土田知則他現代文学理論』(ワードマップ新曜社
川口喬一他最新文学批評用語辞典研究社出版
この他の参考文献は適宜授業中に指示します。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

同じ時間割の演習の履修を予定していた場合には、第1回目の授業を出席していなくても、履修を認めます。