現代地域事情 講義(5)
オーストリアの歴史と文化

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
関根 裕子 講師 2 1~4 第1学期 4

授業の目的・内容

「オーストリアってどんな国?」と尋ねられたらはっきりと答えられますか?首都ヴィーンが「音楽の都」として明確な顔を持っているのに対して、オーストリアという国のイメージは何か漠然としていませんか?ドイツとオーストリアの違いは何ですか?本講義では、過去の栄光に包まれた歴史に比べて、現在ヨーロッパにおける存在感が小さくなってしまっているオーストリアについて、歴史や社会に基づいた文化・芸術を可能なかぎり幅広い側面から紹介します。そして人種の「るつぼ」といわれたハプスブルク帝国という多民族国家から継承した小国の文化アイデンティティを考察します。第1学期では、ハプスブルク帝国の19世紀までの歴史をたどりながら、各時代の文化・芸術をたくさんの視聴覚資料を用いて紹介します。

授業計画

オリエンテーション「オーストリアとはどんな国?」各州の紹介、食文化にみる多民族性、「音楽の都」ヴィーンと呼ばれる所以「オペラ座舞踏会」「ヴィーンフィルのニューイヤーコンサート」など
オーストリアの歴史(1)ハプスブルク宮廷の芸術保護と音楽文化の発展(16世紀まで)~マキシミリアン1世の結婚政策と芸術保護促進
オーストリアの歴史(2)オーストリアのバロック精神~カール5世、レオポルト一世、カール6世の時代とバロック建築
オーストリアの歴史(3)女帝として、母として、妻としてのマリア・テレジア
オーストリアの歴史(4)ヨーゼフ主義~ヨーゼフ2世とモーツァルトのSingspiel
オーストリアの歴史(5)「会議はなぜ踊ったのか?」~ナポレオンとヴィーン会議、メッテルニヒ、オーストリア国歌の変遷
Alles Walzerアレス・ヴァルツァー(1)3月前期のヴィーン~メッテルニヒ体制、ビーダーマイヤーの芸術家、グリルパルツァ、シューベルト『未完の人生』
Alles Walzerアレス・ヴァルツァー(2)ワルツとレントラー~舞踏会文化、ヨハン・シュトラウスとランナー
1848年の乱痴気騒ぎとフランツ・ヨーゼフ皇帝の即位、自由主義(リベラリズム)
10 Ringstrasse文化、教養市民階級の時代~ブラームスとヴィーン楽友協会、ビルロート、歴史主義の建築
11 陽気な世紀末のはじまり~ヴィーン万国博覧会と金融恐慌、ヨハン・シュトラウスの時事ワルツとオペレッタ『こうもり』
12 オーストリア=ハンガリー二重帝国~オペレッタ、ミュージカルに見るハンガリー像『ジプシー男爵』『ジプシーの恋』
13 ハプスブルク家の神話化(1)~エリーザベト皇妃の虚像と実像の間、映画『シシイ』とミュージカル『エリーザベト』
14 ハプスブルク家の神話化(2)ルドルフ皇太子心中事件の真相をめぐって、映画『うたかたの恋』とバレエ『マイヤーリンク』
15 第1学期のまとめ
毎回の授業内容への質問、意見、感想あるいは個別の課題をリアクションペーパーに記入し、提出していただき、平常点に反映させます。

授業方法

音楽や美術、建築などの芸術作品については、多くの視聴覚資料を提示します。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する

参考文献

池内 紀オーストリア新潮社1995
大西建夫 他オーストリア早稲田大学出版部1996
東海大学平和戦略国際研究所オーストリア 統合その夢と現実東海大学出版会2001
W.M.ジョンストンウィーン精神みすず書房1986
カール・ショースキー世紀末ウィーン岩波書店1983
須永朝彦黄昏のウィーン、ハプスブルク王朝の終焉新書館1986
ロビン・オーキーハプスブルク君主国1765-1918 マリアテレジアから第一次世界大戦までNTT出版2010
クラウディオ・マグリス 鈴木隆雄他訳オーストリア文学とハプスブルク神話水声社1990
鈴木隆雄編オーストリア文学小百科水声社2004
アンドリュー・ウィートクロフツハプスブルク家の皇帝たち文理閣2009
江村洋ハプスブルク家講談社1990
その他、洋書、個別テーマに関する参考文献については授業時に指示します。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

オーストリアや、音楽に高い関心を持っている学生を歓迎します。ただしドイツ語や音楽の特別な知識は必要としません。毎回のリアクションペーパーの内容を重視します。