● 日本語教育論Ⅰ

日本語を母語としない児童に対する日本語教育の理念と実践についての理解を深めることをねらいとする授業科目である。近年外国から移住する人々の増加に伴い日本語がわからない児童が小学校に入学・編入する事例が増加していることから、今後教員になるものには不可欠の知見と考えている。具体的には「小学校における日本語教育の重要性と社会的要請」「日本語教育の基本的な考え方」「小学校における日本語教育の具体的なあり方」等について実技・演習を交えて扱う。

１	オリエンテーション：本講義の目的と概要
２	日本で日本語を学ぶ子どもたち：日本の学校で第二言語として日本語を学ぶ子どもたちの様子と、直面する課題について考える
３	ことばの学びとことばの力：子どもたちが複数言語環境で日本語を学ぶことについてバイリンガル理論から探る
４	子どもの日本語教育の観点－①：「個別化」「文脈化」「統合化」
５	子どもの日本語教育の観点－②：「主体性・動態性の年少者日本語教育」「JSLバンドスケール」
６	子どもの日本語教育の観点－③：「ことばとアイデンティティ」「社会の中で育つことば」「子どもたちの心とことばの学び」
７	子どもの日本語教育実践活動を考える－①：「実践事例の紹介」
８	子どもの日本語教育実践活動を考える－②：「レアリアを使って実践活動を組み立てる（グループ活動）」
９	子どもの日本語教育実践活動を考える－③：「実践活動の発表」⇒教案提出（レポートA）
10	子どもの日本語教育に関するテキストの検討－①：「指定したテキストをグループで検討する」「教材のあり方を考える」
11	子どもの日本語教育に関するテキストの検討－②：「発表」⇒テキスト分析レポート提出（レポートB）
12	子どもの日本語教育における「支援」と「連携」：「鈴鹿市における取り組み」「目黒区における取り組み」
13	複数言語環境で育った子どもたちの語り：「彼らは自身のことばをどう捉えているのか」
14	総括：総合討論⇒期末レポート
15	予備日

出席20％、小レポート（２回）20％、期末レポート50％、参加度10%

授業終了時にコメントシートに感想や質問を書いて提出、それが出席点になります。

教室でプリント資料を配布します

川上郁雄『「移動する子どもたち」のことばの教育学』初版、くろしお出版、2011年、ISBN:9784874245118
川上郁雄『「移動する子どもたち」と日本語教育―日本語を母語としない子どもへのことばの教育を考える―』初版、明石書店、2006年、ISBN:9784750324173
川上郁雄『「移動する子どもたち」の考える力とリテラシー―主体性の年少者日本語教育学―』初版、明石書店、2009年、ISBN:9784750329161
川上郁雄『海の向こうの「移動する子どもたち」と日本語教育―動態性の年少者日本語教育学―』初版、明石書店、2009年、ISBN:9784750330617
川上郁雄『私も「移動する子ども」だった―異なる言語間で育った子どもたちのライフストーリー―』初版、くろしお出版、2010年、ISBN:9784874244746

第1回目の授業に必ず出席のこと。