※哲学特殊研究

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
第1学期 五郎丸 仁美 講師
第2学期 船木 祝 講師
4 D/M 通年 3

五郎丸 仁美 講師 (第1学期) ニーチェの美学的哲学

授業の目的・内容

ニーチェは新たな真理を教えているのか、仮象ないし神話を語っているのか。あるいはニーチェはこの問い自体を拒むのだろうか。この授業では、真理と仮象という二項対立を大きな枠組みとし、ニーチェ自身の言葉からニーチェ哲学をいかに読むべきかを考察しつつ、その美学的性質を明らかにしていきたい。

授業計画

ニーチェの生と表現様式
『悲劇の誕生』におけるアポロン的なるもの
『悲劇の誕生』におけるディオニュソス的なるもの
『悲劇の誕生』における悲劇(美的遊戯)論
『悲劇の誕生』における学問批判
「ギリシア悲劇時代の哲学」のヘラクレイトス解釈
初期遺稿における真理と仮象、芸術と学問
中期ニーチェの形而上学・道徳(的真理)批判
『悦ばしき知識』における仮象、芸術
10 『ツァラトゥストラ』の美的戦略
11 『ツァラトゥストラ』における舞踏、笑い、賭
12 時間の美学としての永遠回帰
13 仮説(仮象)としての力への意志
14 後期遺稿におけるニヒリズムと芸術
15 総括

成績評価の方法

第1学期
学期末にレポート(2500-3000字程度)を提出して貰う。真理と仮象ないしニーチェ哲学に関わる問いを自ら設定した上で、明確な主張を打ち出すこと。

参考文献

五郎丸仁美遊戯の誕生 カント、シラー美学から初期ニーチェへ国際基督教大学比較文化研究会2004
他随時授業中に紹介する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

参加者の人数によって、ゼミ形式が可能であれば、その方向も考えたい。第一回目の状況を見て判断するため、参加意志のある者は、一回目にかならず出席のこと。

船木 祝 講師 (第2学期) カント哲学との対話

授業の目的・内容

すべての哲学はカントに入り、カントから再び流れ出すといわれている。哲学史の中心に位置しているカント哲学との対話を通じて、哲学的な思索能力を身につける。哲学思想は、思想家の人生経験や、同時代人との対話の中で、紆余曲折を経ながら形成されていくということを学ぶ。また、カントの人間学における幸福論を学ぶ。さらに、カントと他の思想を比較する。ショーペンハウアー、シェーラーとの比較検討がなされる。さらに、現代の社会問題とカントとの接点を明らかにするために、生命倫理の問題を検討する。

授業計画

カントの生涯
批判哲学とは
哲学の概要ーアンチノミーと義務倫理学
カントと同時代人の思想家たち(1)-ヴォルフ、マイヤー
カントと同時代人の思想家たち(2)-クルージウス
思想発展史ー沈黙の10年
幸福論(1)
幸福論(2)
カントとショーペンハウアー
10 カントとシェーラー
11
12 カントと生命倫理
13
14 理解度の確認
15 予備日

授業方法

第2学期は、9月の集中講義期間に行う。講義形式を基本とするが、各人は自分の意見を小論文にまとめる。また、多様な意見に触れ、多角的な思考能力を身につけるために、グループ討論をする。

成績評価の方法

試験は、集中講義の授業の最終日に行う。
その他、講義への参加状況、小論文、グループ討論と併せて総合的に評価する。

参考文献

ノルベルト・ヒンスケ現代に挑むカント』(哲学叢書第1版、晃洋書房1985年、ISBN:477100319X
中島義道モラリストとしてのカントI第1版、北樹出版1992年、ISBN:489384265X