※フランス文学特殊研究
フランス近代文学と絵画

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
塚本 昌則 講師 4 D/M 通年 5

授業の目的・内容

近代文学には、絵画を主題とする小説や評論が数多く存在します。バルザック『知られざる傑作』、ゾラ『制作』、ゴンクール兄弟『マネット・サロモン』、プルースト『花咲く乙女たちのかげに』などの小説、また、ディドロに始まり、スタンダール、ボードレールからブルトン、レリス、バルトに至るまで、数限りなく存在する絵画論。ここでは、第1学期にゴンクール兄弟の小説を取りあげ、画家が虚構の中でどのような存在として描かれているかを検討、第2学期は、ヴァレリーの評論『ドガ・ダンス・デッサン』をもとに、絵画批評の可能性について、参加者と議論する予定です。

授業計画

初めに、芸術家小説と呼ばれる、画家を主人公とした一連の小説にどのようなものがあるのか、概説書を手がかりに紹介します(1〜2回)。参加者の興味に応じて、その中の何冊かについて、内容紹介の発表を準備していただくかもしれません。その後は(3〜15回)、基本的にゴンクール兄弟『マネット・サロモン』を講読、この小説で画家がどのように描かれているのかを見ていく予定です。
第2学期は、やはり概説書をもとに、近代作家の絵画論にどのようなものがあるかを、最初に概観します(16〜17回)。その後は、ヴァレリーの『ドガ・ダンス・デッサン』を講読、ドガの絵を出発点に、注意力による対象の変形、描くことと踊ることの共通点、写真による知覚の変化など、見ることをめぐる多様な問題を断章形式で論じる文章を読みながら、参加者と議論していきたいと考えています。

授業方法

授業は、講義と演習、ならびに参加者の発表をまじえて進めます。

成績評価の方法

授業への参加度、期末レポート

教科書

Edomond et Jules de Goncourt, Manette Salomon, (Folio) Gallimard, 1996
Paul Valéry, Degas Danse Dessin, (Folio) Gallimard, 1965