アーカイブズ学理論研究Ⅱ
世界と日本のアーカイブズ史

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
安藤 正人 教授 4 D/M 通年 5

授業の目的・内容

人間と記憶・情報・記録の相互関係を歴史的に幅広くとらえる中で、アーカイブズ思想とアーカイブズ・システムが担ってきた役割を理解するとともに、アーカイブズが直面している現代的課題を明らかにすることを目標とする。授業では、まず紀元前から現代に至るレコードキーピングの歴史を、民主主義の基盤システムとしての近代的アーカイブズの成立や、植民地支配・戦争がもたらした影響などの問題に重点を置きながら、世界史的に振り返る。第2学期後半では、戦後世界の民族問題や武力紛争がアーカイブズに及ぼした、あるいは今なお及ぼしつつある影響について、出席者が分担してレポートする。

授業計画

1. 前近代社会のアーカイブズ
1.1 記録の発生とその保存(紀元前の世界)
1.2 世界におけるアーカイブズの成立と発展
1.3 日本の前近代アーカイブズ
1.3.1 東アジアの中の律令国家とその文書管理制度
1.3.2 中世的記録管理システムの様相
1.3.3 近世の記録管理
2. 近代的アーカイブズの成立と展開
2.1 市民革命と近代的アーカイブズの成立
2.2 近代的アーカイブズ・システムの広がり
2.3 日本の近代とアーカイブズ
2.4 国民国家とアーカイブズ
〜歴史人類学会『国民国家とアーカイブズ』を読む〜
同上(続き)
10 2.5 戦後日本の史料保存運動とアーカイブズ運動
11 3. 現代社会とアーカイブズ
3.1 アーカイブズをめぐる国際法と国際慣例
12 同上(続き)
13 3.2 植民地支配・戦争とアーカイブズ〜ヨーロッパの場合〜
14 同上(続き)
15 予備日
16 3.3 植民地支配・戦争とアーカイブズ〜日本の場合〜
17 同上(続き):植民地におけるアーカイブズ政策
18 同上(続き):「満州」と朝鮮
19 同上(続き):占領地におけるアーカイブズ政策
20 同上(続き):中国占領地と南方占領地
21 3.4 戦後国際社会とアーカイブズ
3.4.1 圧政・武力紛争とアーカイブズ
22 同上(続き)
〜ベトナム戦争、中東紛争、パレスチナ問題、アパルトヘイト、東西ドイツ統合、ソ連東欧崩壊、東チモール紛争、韓国民主化運動などを素材にした出席者による分担レポート〜
23 同上(続き)
24
25
26
27 3.4.2 アーカイブズ問題と国際協力
28 同上(続き)
29 1年間のまとめ
30 予備日

授業方法

講義を中心とするが、出席者には文献講読と研究発表を各1回ずつ課する予定である。

成績評価の方法

出席と研究発表による。

教科書

安藤正人アジアのアーカイブズと日本 −記録を守り記憶を伝える−』(岩田書院ブックレット13第1版、岩田書院2009

参考文献

授業時に順次示す。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。