アーカイブズ・マネジメント論研究Ⅱ
レコード・マネジメント論

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
古賀 崇 講師 2 D/M 集中(第1学期)    

授業の目的・内容

政府、企業、教育・学術機関、非営利組織など、さまざまな組織における業務過程に沿って生産・管理される情報をレコード(記録)と呼ぶ。そのレコードの管理・保存・活用にかかわる研究ならびに実践の領域がレコード・マネジメント(記録管理)である。
レコード・マネジメントとは一般的には、レコードを発生時点から、もっぱら現用段階において管理するしくみとして理解されている。しかし、レコード・マネジメントの適切な実施こそが、アーカイブズ(非現用記録)の管理の達成に不可欠なものと言える。さらに、「電子記録」が広範に普及することによって、記録の発生時点からアーカイブズを確保するための取り組みが不可欠であると認識されるようになり、レコード・マネジメントとアーカイブズとの結びつきは一層緊密なものとなっている。
この授業ではこうした観点から、レコード・マネジメントの理論と実践について理解することを目的とする。
なお、この「レコード・マネジメント論」では、レコード・マネジメントの単なる手法よりも、レコード・マネジメントの実践のための理論・考え方により重点を置く予定である。また、レコード・マネジメントやアーカイブズ学に関する文献探索の方法にも、この授業の中で触れることとしたい。

授業計画

オリエンテーション(授業への導入):履修者は自己紹介として、各自の研究関心や本科目の受講理由を述べられるようにしておくこと。
組織アーカイブズ・収集アーカイブズと記録管理
記録の位置づけと「パラダイムシフト」
記録が記録であるための要素
記録管理の背後の考え方(内部統制、コンプライアンス、CSR、リスク分析)
大学の記録と「研究情報資源」
論文執筆のための情報源活用法
規格・標準が示す記録管理の原則
記録管理の方法論としての業務分析
10 自治体・企業などの組織における記録管理の実情
11 電子記録管理をめぐる課題
12 海外の事例(主に米国)の紹介と検討
13 記録管理の専門職とスキル
14 まとめ
15 自主研究
本科目は集中講義により実施する。日程等の詳細は追って告知する。
上記の授業内容については順番を入れ替えるなど、若干変更する可能性がある。

授業方法

講義方式を中心とするが、講師−受講生間での討議、受講生どうしでの討議を随時取り入れるようにしたい。またビデオ鑑賞も取り入れる予定である。
受講生には、特にレコード・マネジメント等にまつわる自身の経験に引きつけて、積極的に討議に参加するよう、強く希望する。

成績評価の方法

授業への参加状況、および授業期間後のレポートにより評価する。

教科書

教科書は特に指定しないが、授業開始前に「必読文献」「参照文献」として論文等をいくつか指定する。「必読文献」は授業開始前に必ず一読し、授業内で感想や疑問点を口頭で述べられるようにしておくこと。
なお、「必読文献」「参照文献」とあわせて、授業の中でプリント等を配布する。

参考文献

小谷允志今、なぜ記録管理なのか=記録管理のパラダイムシフト:コンプライアンスと説明責任のために日外アソシエーツ2008年、ISBN:9784816921377
朝日崇実践アーカイブ・マネジメント:自治体・企業・学園の実務出版文化社2011年、ISBN:9784883384501
城下直之文書管理・記録管理入門:ファイリングからISOマネジメントまで日外アソシエーツ2008年、ISBN:9784816921001
公文書管理検定テキスト 実務編(全3巻 第3版)、マネジメント編(全3巻 第2版)日本経営協会2011
社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会 ドキュメントマネージメントシステム部会文書管理物語:ストーリーと解説で学ぶ電子的情報管理の実現東洋経済新報社2011年、ISBN:9784492580912
その他の文献は授業時に適宜紹介する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

「文献探索の方法」を含め、授業内容について事前・事後に質問がある場合は、tkoga◆tenri-u.ac.jp(◆は@に変えて下さい)まで電子メールにて連絡のこと。