● アーカイブズ・マネジメント論研究Ⅲ
―記録史料保存論―

アーカイブズは収集した紙資料、デジタル記録等のコレクション（所蔵資料）を維持・管理し、その継続的な利用を保証することを任務とする。これらアーカイブズが基盤とする様々な記録史料のコンサベーション（維持・管理、補修等の手当て）とプリザベーション（保存マネジメント）について、その理論と実践を学ぶ。
講義内容は、１）記録史料保存の考え方、２）種々の記録史料の特性とその利用阻害要因、３）保存のための予防と治療、４）資料レベルの保存ニーズ査定と処置の選択、５）コレクション・レベルの保存ニーズ査定、６）災害と防災、７）保存プログラムの策定、８）国内外の関連文献・情報源、専門機関、関係学協会等の案内、を柱とする。これらの講義により、受講生がアーキビストに必要な記録史料保存の基本的知識と実践的素養を身につけることを目標とする。

１	記録史料の保存（１）：コンサベーションとプリザベーション
２	記録史料の保存（２）：コンサベーションとプリザベーション
３	記録史料の素材：支持体・担体及びデジタルデータ
４	記録史料の利用阻害要因：劣化損傷、機器・システムの旧式化、災害等
５	紙について：その歴史、製法、種類、保存性
６	紙資料劣化の外的要因（１）：化学的要因と環境管理
７	紙資料劣化の外的要因（２）：生物的要因とIPM（総合的有害生物管理）
８	紙資料劣化の外的要因（３）：物理的要因（取扱い等）とその対策
９	紙資料劣化の内的要因（１）：酸・リグニンとその対策
10	紙資料劣化の内的要因（２）：酸・リグニンとその対策（続）
11	紙資料劣化の内的要因（３）：インク劣化等とその対策
12	紙資料の保存（１）：予防（容器収納等）
13	紙資料の保存（２）：治療（補修等）
14	資料補修工房見学
15	予備日
16	紙資料補修実習
17	紙資料の保存（３）：代替（マイクロ化とデジタル化）
18	非紙資料の保存（１）：マイクロフィルムの劣化原因とその対策
19	非紙資料の保存（２）：デジタル情報長期保存の課題
20	保存ニーズ査定（個別資料レベル）と処置方法の選択
21	保存ニーズ査定（コレクション・レベル）（１）：資料の状態調査
22	保存ニーズ査定（コレクション・レベル）（２）：環境調査と施設点検
23	アーカイブズ機関見学（文書等保存の取組み）
24	災害と防災（１）：災害の種類／防備と対処
25	災害と防災（２）：防災計画の立案
26	保存プログラムの策定（１）：事例紹介／参照モデル
27	保存プログラムの策定（２）：リスク管理／計画プロセス
28	レポート発表
29	まとめ
30	予備日

講義形式が中心。関連して紙資料補修実習（学内）と関係機関見学（学外）を実施する。

レポート（２回）及び平常の受講態度