物性物理学Ⅱ
有機導体を中心とした固体電子物性

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
中村 敏和 講師 2 D/M 第1学期 2

授業の目的・内容

プラスティックは絶縁体の代表格ですが、化学的な処理を行うことで電気を流すようになります。このような物質群は、「導電性有機分子化合物」、あるいは簡単に「有機導体」と呼ばれています。有機化合物が電気を流すことが知られてから半世紀以上経ち、超伝導体も発見されていますが、この「有機導体」を舞台とした多くの特異な現象は物性物理の骨幹となる問題になっています。それは、(1)有機導体の多くが異方性の強い低次元電子系とみなされること、(2)伝導電子間の相互作用が強いこと、(3)伝導電子が分子の内部自由度と強く結合していること、などのきわだった特徴に起因しています。本講義では、物性物理のモデル物質である「有機導体」の興味深い物性と背景について概説します。

授業計画

低次元導体の世界
有機導体とその電子構造
パイエルス転移(1)
パイエルス転移(2)
密度波のダイナミクス(1)
密度波のダイナミクス(2)
クーロン相関と磁性(1)
クーロン相関と磁性(2)
クーロン相関と磁性(3)
10 超伝導(1)
11 超伝導(2)
12 超伝導(3)
13 有機導体のトピックスと展望
14 理解度の確認
15 自主研究
学部で学んだことを出発点に、最先端の話題へのつながりを分かりやすく述べたい。

授業方法

講義形式で行う。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する
レポートを課す。

教科書

鹿児島 誠一, 長沢 博, 三本木 孝, 高橋 利宏低次元導体―有機導体の多彩な物理と密度波』(物性科学選書改訂版、裳華房2000年、ISBN:9784785326104
H. イバッハ , H. リュート固体物理学―21世紀物質科学の基礎』(Springer university textbooks改訂新版、丸善出版2012年、ISBN:9784621061404
イバッハの固体物理に関しては、類似の本をもっていればそれで代用して良い。詳細は授業時に指示する。