● 無機化学特論Ⅲ
担 当 者
単 位 数
配当年次
学 期
曜 日
時 限
赤荻 正樹 教授
中山 将伸 講師
野津 憲治 講師
浜谷 望 講師
2
D/M
集中(第1学期)
学内の教員に加えて、次の三人の講師により開講される。三人の講師による講義は集中講義形式で行い、元素・無機化合物の高圧下の構造、計算機シミュレーションによる無機材料の解析から、同位体地球惑星化学までを学ぶ。
浜谷望講師
「放射光X線で見た高圧力下の分子性結晶」
物質に圧力をかけて圧縮すると密度が増すだけでなく、相転移や非晶質化、絶縁体の金属化など、大気圧下ではみられない構造変化や物理化学的性質が現れる。かつて、高密度化は、結晶の対称性を高めすべての物質を金属にするという、ものごとを単純化する方向に進めるものと考えられていた。しかし、近年の放射光X線を利用した測定技術の発展は、まったく予想されなかった複雑な現象が高圧力下に存在することを明らかにしてきた。本講義では、放射光高圧X線回折実験を概説し、新奇な高圧現象例を紹介したのち、I
2
、BI
3
、SnI
4
という単純な分子性結晶が示す複雑なふるまいをやや詳しく紹介する。
中山将伸講師
「計算材料化学による基礎と展開」
コンピュータのハードとソフトの進歩によって、近年では実験を専業的に行う材料研究者においても機能性材料の解析や設計に計算機シミュレーションを活用することは珍しくなくなってきた。この講義では、主に量子力学理論を活用した計算手法「第一原理バンド計算」について、その理論的背景を概説する。また、エネルギー変換材料への応用例を中心に計算機シミュレーションが、実際の材料開発や研究に対して、どのように活用されているかについても述べる。
野津憲治講師
「同位体地球惑星化学の基礎と展開」
元素は質量の異なる同位体から構成され、同位体存在比の変動から地球や太陽系、宇宙で起きたことを読み取ることができる。本講義の前半では天然において同位体比が変動するメカニズムを解説し、後半では同位体比に基づく地球惑星化学の最近の研究成果を紹介する。後半で取り上げるトピックスとしては、(1)先太陽系微粒子の同位体比異常と元素合成過程、(2)隕石の精密年代測定から描かれる詳細な太陽系形成史、(3)安定同位体比変動から推察される地球環境変動、を予定している。
講義形式で行う。
集中講義
レポート、演習および出席により評価する。
講義中に適宜指示する。
第1回目の授業に必ず出席のこと。