家族法
現代家族法

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
野村 豊弘 教授 2 2~3 第1学期 1

授業の目的・内容

本講義は、家族法全分野をその対象とするものである。ただし、家族法全体を平板に解説するのではなく、とくに現代において重要な問題となっている点に重点を置いて検討する。社会の変化、科学技術の発展、国際化などの諸現象によって、家族法の諸制度がどのような影響を受けているのか、個々の規定の解釈論にどのような変化を生じているのか、最近の立法の動向、今後の改正の方向はどのようなものかを考察する。また、民法だけでなく、関連する他の法律も視野に入れ、また家庭裁判所における実務も考慮し、具体的な問題の全体像を把握できるようにしたい。

授業計画

本授業の趣旨・目的、および、授業進行上の方針・方法について説明
序論 家族法の歴史(フランス民法、明治民法、第2次大戦後の民法改正に重点を置く)を概観する。そして、現代における家族法改正の傾向(男女の平等、離婚の自由化、非嫡出子の平等など)を明らかにする。また、医学の発達が家族法に与える影響を指摘する。諸外国法についても比較検討する。
婚姻 婚姻の要件・効果について、現行民法の規定から生ずる問題点について考察する。たとえば、待婚期間、夫婦の氏、婚姻費用の分担などを取り上げる。
離婚 離婚の要件・効果について考察する。離婚原因に関して、有責主義から破綻主義へと変遷してきたことなどを取り上げる。また、夫婦財産制の清算・年金の分割にも触れる。
嫡出子・非嫡出子 嫡出推定、嫡出否認の訴え、親子関係訴訟について現在の問題点を明らかにする。DNA鑑定の問題点も取り上げる。
人工生殖子 生殖補助医療によって生まれた子について、法律上の父母がだれかについて考察する。日本における判例・立法(の動向)だけでなく、諸外国の立法についても言及する。
養子 普通養子と特別養子について考察する。とくに、日本における特別養子の利用状況を紹介する。また、国際養子縁組の問題も取り上げる。
親権・後見・保佐・補助 最近の後見制度の改正について考察する。また、高齢者の資産管理についても考察する。
扶養 私的扶養と公的扶養の関係を視野に入れながら、扶養について考察する。また、介護保険制度についても言及する。
10 相続法の歴史 相続の意義、相続の根拠、相続法の原理について考察する。また、諸外国法についても比較検討する。
11 相続財産 相続財産について、その種類ごとに考察する。とくに債務の相続を取り上げる。また、相続分、特別受益、寄与分についても考察する。
12 相続の承認と放棄 相続の承認・放棄について考察する。
13 遺産分割 遺産分割について考察する。
14 遺言と遺贈 各種の遺言方式、遺言の効力、包括遺贈と特定遺贈、遺留分制度について考察する。
15 本授業のまとめ

授業方法

教科書の指定された箇所を予習した上で授業に出席することを前提として、学生に対する質問をまじえながら講義をする。学生が家族法に関する基礎的な知識を修得していることを確認しながら、現代における家族法の変容について講義をする。

成績評価の方法

授業に対する貢献度は、出席状況および授業における発言・報告を評価して、判断する。

教科書

高橋朋子・床谷文雄・棚村政行民法7親族・相続』(有斐閣アルマ第3版、有斐閣2011年、ISBN:9784641124523
水野紀子・大村敦志・窪田充見家族法判例百選』(別冊ジュリスト第7版、有斐閣2008年、ISBN:9784641114937

参考文献

親族法・相続法に関する一般的な参考文献については、授業の最初に指示する。また、個別のテーマについての参考文献・重要判例については、その都度、指示する。