教育方法・技術C
授業の方法と技術

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
佐藤 学 教授 2 2~4 第1学期 4

授業の目的・内容

授業を創造する技法とその技術について、学習科学、教授学、授業実践の事例研究の三つのアプローチによって講述する。中学校、高校の授業の実践において有効となるよう、可能な限り、授業実践の実例をビデオ記録で提示し、その観察と批評によって具体的な技法とその実践的研究を講義において実施したい。併せて、ICT(情報コミュニケーション技術)を活用した授業の可能性についても実践的に例示する。

授業計画

授業の世界。中学校、高校の教室における授業風景をビデオ記録で紹介し、授業実践といういとなみが教師にとってどのような活動として展開されているのかについて解説する。
学びの世界。中学校、高校の教室における授業風景をビデオ記録で紹介し、教室において生徒はどう学んでいるのかについて解説し、授業が生徒にとってどのような経験として体験されているのかについて解説する。
授業の技法1(ポジショニング)。授業の技法として、教師の居方について授業記録のビデオや写真を示して講述する。教師の言葉と身体が開かれ、教師のふるまいが絶えず生徒と教材、生徒と生徒をつないでいることの重要性を提示する。
授業の技法2(聴く)。優れた教師は話すことよりも聴くことに専念している。授業の技法として、生徒のつぶやきや声にならないメッセージを細やかに聴くことの重要性について、実践事例を示しつつ講述する。
授業の技法3(つなぐ)。授業において教師は生徒と教材をつなぎ、生徒と生徒をつなぐ活動を展開している。<つなぐ>をキーワードにして授業の技法を示し、その技法の具体を実践事例のビデオ記録によって提示する。
授業の技法3(もどす)。生徒の学びを触発し跳躍させるための授業の技法を<もどす>をキーワードにして示す。授業において教師は<テキストにもどす><資料にもどす><グループにもどす>活動を有効に展開してる。その実例と意義を講述する。
授業の技法4(学びのデザイン)。授業に先立って教師は生徒の学びの課題をデザインし、授業においてデザインを即興的に修正して、創造的でダイナミックな生徒の学びを実現している。その技法を<デザイン>をキーワードとして提示する。
授業の技法5(学びのリフレクション)。学びのデザインとリフレクションの往還作用によって授業実践は質の高いものへと発展する。学びのリフレクションは授業中の思考と授業後の思考の二つのステージで行われる。その具体を提示する。
ICTの活用。ICTの技術的発展は、授業と学びの様式のイノベーションを促進している。ICTの活用の方法を示し、テクノロジーが学びの変革にどう有効に機能するのか、その可能性について講述する。
10 協同的学びの組織1。中学校の授業実践の実例を提示し、協同的学びが有効に機能する要件と協同的学びを推進する教師の役割について講述する。
11 協同的学びの組織2。高校の授業実践の実例を提示し、協同的学びが有効に機能する要件と協同的学びを推進する教師の役割について講述する。
12 個への対応と協同の促進。授業実践において教師は、個への対応(テーラーリング)と協同の促進(オーケストレーション)を行うことによって、ダイナミックな学び合いを教室に実現している。その実践例を示し指導法の要点について解説する。
13 授業研究の方法1。教師の成長は職人性(クラフトマンシップ)と専門性(プロフェッショナリズム)の二つの面において進行する。職人性は授業実践の高度の技法として洗練され、専門性は知識と理論によって発達する。その構造について講述する。
14 授業研究の方法2。教師が授業を実践的に研究する方法について講述する。教師が成長できる校内研修の条件についても検討したい。
15 理解度の確認。授業全体をとおして総括的な理解度を確認する。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する

参考文献

教育の方法』(放送大学叢書左右社2010
稲垣忠彦・佐藤学授業研究入門岩波書店1997
佐藤学教師花伝書小学館2009
その他の参考文献については授業時に必要に応じて指示する。