日本法制史

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
辻村 亮彦 講師 4 2~4 通年 4

授業の目的・内容

本年度は明治維新期から大正期までの日本法の歴史について講義する。明治以降の日本法は、明治維新以前の法制度の上に、古代ローマ以来の伝統を持つ西洋近代法を全面的に移植することによって形作られてきた。全面的な法制度の改変が進められつつある21世紀の現代において、われわれの法がどのようにできあがってきたのかについて、今一度立ち止まって確認しておくことも無意味ではないはずである。この講義では、明治日本が西洋法とどのように出会い、受け入れ、自分たちの「法」として学んでいくことにしたい。

授業計画

1 イントロダクション:本講義のねらい、全体の講義予定、参考書の紹介
2 江戸時代の法の概観:統治組織・裁判制度
3 幕末・明治維新期の政治、外交
4 「律令」への回帰(1):太政官制
5 「律令」への回帰(2):新律綱領・改定律例
6 西洋法との出会い(1):オランダ法・フランス法
7 西洋法との出会い(2):お雇い法律顧問
8 司法制度の創設(1):江藤新平の構想
9 司法制度の創設(2):司法省・大審院・各裁判所の設置
10 司法制度の創設(3):法律家、法学教育
11 条約改正交渉
12 明治前期の刑事法(1):旧刑法・治罪法の編纂
13 明治前期の刑事法(2):刑事裁判
14 明治前期の民事法(1):民事裁判
15 予備日
16 明治前期の民事法(2):「家制度」
17 明治前期の民事法(3):婚姻・離婚
18 明治前期の民事法(4):土地制度・取引法
19 大日本帝国憲法の成立(1):明治14年政変、内閣制度の成立
20 大日本帝国憲法の成立(2):憲法・皇室典範の編纂
21 地方制度の展開
22 民法典の編纂(1):前史、旧民法の編纂
23 民法典の編纂(2):法典論争
24 民法典の編纂(3):明治民法の編纂、「学説継受」
25 治安法制の展開
26 「社会法」の形成
27 陪審法の制定
28 植民地法:台湾、朝鮮半島を中心に
29 授業全体のまとめ:「法の継受」、法制史という学問分野
30 理解度の確認

授業方法

講義形式で進める。毎回レジュメと資料を配付する。受講者と一緒に資料を読み、議論する時間を設けたい。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):100%(論述式問題とする。授業の内容を理解した上で、自分自身の考え方を提示できたかどうかを評価する。)
基本的に学年末試験によって評価する。夏休み明けにレポートを提出した場合には内容に応じて最大20%加点する(提出は任意、テーマは1学期末の授業内で発表)。

教科書

特定の教科書は用いない。

参考文献

参考書については、初回に概説的なものをいくつか紹介した上で、授業の進行に合わせて個別的なものを紹介する。

その他

日本史、法制史に関する特別の知識は必要ない。日本法の歴史的な成り立ちに対する関心が、唯一の受講条件である。大学内に研究室を持っていないので、質問がある場合は授業前後の時間を利用するかメールでコンタクトすること。