現代社会思想Ⅱ
「主体」と「性」の不思議――「コミュニケーション」と「コーポ―レーション」の間―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
M.ブルチャー 講師 2 1~4 第2学期 3

授業の目的・内容

(第1学期のつづき)
 
この講義は、現代社会思想の在り方を、その近代認識論との密接な繋がりの観点から考察する。現代に大きな影響を与え続けている思想家の論文を抜粋して読むことを通じて、社会思想の根本問題に対する基本的な考え方の違いと共通点を両方浮き彫りにすることが、この授業の目的である。
 
「社会」という漢語は、19世紀英語の「society」の訳語に当てられてから初めて、日本思想の根本概念となった。この講義は、近代西洋に於ける社会思想の成立と混乱を中心にたどるが、その思想対立に潜んでいる根本的論理は、明治期に成立した近代日本語の知的語彙の落ち着きと混乱にも伝わっている。「社会」と「会社」の相互反転性、「主体」の不思議な多義性、そして単語としての「性」の驚くほどの意味変換は、単なる偶然ではなく、現代社会思想の在り方の表れでもある。この講義は、近代西洋社会思想を、漢字を通じて見る面白さにも注目する。

授業計画

1 フーコーの「啓蒙」論
2 フーコーの「知=権力」と「主体」論
3 フーコーの「知=権力」と「性」論
4 フーコーの「生権力」と「統治性」論
5 アルチュセールとマンハイムの「イデオロギー」論
6 ヘーゲルの「近代国家」論
7 ハーバーマスの「ヘーゲル」論
8 ハーバーマスの「コミュニケーション的理性」論
9 ハーバーマスの「討議倫理」論
10 「主体性」と「近代化」:丸山眞男を中心に
11 トックヴィルの「デモクラシー」と「革命」論
12 ウェーバーの「資本主義の精神」論
13 ハンチントンの「変革期社会の政治秩序」論
14 ハーバーマスの「公共性の構造転換」論
15 理解度の確認

授業方法

主に講義による。
毎週次回の資料を配布し、受講者はそれを熟読したことを前提に、クラスで読み解いていくことが中心となる。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):80%
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):20%
試験と質問票による。
質問票は、各回授業の終わりに質問やコメントのある者に記入してもらう。