美術史講義
15世紀後半から16世紀前半のイタリア美術 ー盛期ルネサンスとその後ー―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
高橋 朋子 講師 4 2~4 通年 3

授業の目的・内容

ルネサンスとは、広義には14世紀から16世紀にかけて興った文化動向全般を指しますが、狭義には15世紀初頭にフィレンツェで興った新たな美術の傾向のことを指します。この美術革新は一気に波及し大きな影響力を持ちます。やがて15世紀末から16世紀初頭にかけて、レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロといった巨匠の力によってルネサンス様式はひとつの頂点に達します。一方同じ頃ヴェネツィアでは、ティツィアーノを中心にフィレンツェの様式に対抗し、新たな絵画様式を成立させます。本年度の講義の目標はこうした巨匠の作品を、彼らの個人的思惑と野心、さらにそこに社会的、政治的な条件を絡めて考察し、ルネサンスの革新的美術様式とは何を目指し、また何を獲得したのかに検討を加えるとともに、中央イタリア(ローマ、フィレンツェ)対ヴェネツィアといった16世紀イタリア美術の基本構造を理解することを目的とします。

授業計画

1 導入 ルネサンスとは -ヴァザーリの『美術家列伝』解説ー
2 14世紀のイタリア美術 ーイタリアのゴシック概観ー
3 フィレンツェにおける美術革新(1) -ブルネレスキ、ドナテッロ、マサッチォー
4 フィレンツェにおける美術革新の波及 -アルベルティの『絵画論』ー
5 15世紀後半のフィレンツェの美術状況
6 レオナルド・ダ・ヴィンチ(1) ーフィレンツェからミラノへー
7 レオナルド・ダ・ヴィンチ(2) ーミラノ時代のレオナルドー
8 レオナルド・ダ・ヴィンチ(3)
ー「絵画」と「詩」(言葉)のパラゴーネ(「優劣比較論争」)
9 レオナルド・ダ・ヴィンチがヴェネツィアの画家に与えた影響 -レオナルドとジョルジョーネー
10 フィレンツェに戻ったレオナルド ーレオナルドとミケランジェロとラファエロー
11 ミケランジェロ(1) ー15世紀末のミケランジェロー
12 ミケランジェロ(2) ー16世紀初頭のミケランジェロー
13 ラファエロ ーフィレンツェ時代ー
14 授業の総括
15 予備日
16 ラファエロとミケランジェロ ーフィレンツェ時代の確執ー 
17 ラファエロとミケランジェロ ーローマ時代の確執(1)ー
18 ラファエロとミケランジェロ ーローマ時代の確執(2)ー
19 パトロンとしてのユリウス2世、レオ10世
20 ミケランジェロと神話画
21 ミケランジェロとメディチ家の確執
22 若きティツィアーノとミケランジェロ
23 美術論争と画家 「絵画」と「彫刻」のパラゴーネ(1)
24 美術論争と画家 「絵画」と「彫刻」のパラゴーネ(2)
25 ローマ、フィレンツェに対抗するティツィアーノ(1)
26 ローマ、フィレンツェに対抗するティツィアーノ(2)
27 ローマ、フィレンツェに対抗するティツィアーノ(3)
28 ヴェネツィア派に対抗するフィレンツェ(4)
29 授業の総括
30 予備日
 前半ではまず、ルネサンス様式の革新性とは何か、またその様式がどのように波及していったかを簡単に概観します。そのあと今年のテーマである盛期ルネサンスの芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、ティツィアーノと内容を展開します。実際講義を始めた時点で順番が入れ替わることもあります。また内容によっては一回で終わらない場合も予想されます。その結果計画がすべて消化できないことも重々考えられることを断わっておきます。

授業方法

授業はパワーポイントを使用して進めます。また板書はしません。その代り各テーマごとに簡単に内容をまとめたプリントを毎回配布します。なおそのプリントには、講義で取り上げた作品は必ずすべてリストアップします。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):50%(試験の成績のみ)
第2学期(学年末試験):50%(試験の成績のみ)
各学期末の試験、合計2回の成績で評価します。試験は客観問題3割、あとは論述問題で構成します。授業中に配付したプリントと自筆のノートのみ持ち込み可。ただしノートに図版のコピーを貼ることは厳禁です。

参考文献

本年度の講義全般の参考文献に関しては、第1回目に参考文献一覧を配布します。また特化した内容に関しては毎回配布するプリントにて指示します。