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日本文学講義Ⅱ
―映画・小説における女性像・男性像――
担 当 者 |
単 位 数 |
配当年次 |
学 期 |
曜 日 |
時 限 |
中山 昭彦 教授
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4 |
2~4 |
通年 |
火 |
2 |

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小説と映画には根本的な違いがあり、ストーリーなどを単純に比較しただけでは両者の違いを十分に理解したことにはならない。この違いに留意しながら、小説と映画の分析法の基本的な違いを学び、その上で、小説に可能なこと、映画に可能なことを明らかにすることが本講義の第1の目的である。これは映画の小説化、小説の映画化といったメディア・ミックスが、どんな条件のもとで行われるかを考えることにもなる。特に今年度の授業では、小説と映画における男女関係や性差の表現の違いに注目し、そうした表現の差と社会的なコンテクストとの関係をも考えてみたい。つまり映画と小説の表現の差に応じて、社会的な要素との関係にどんな変化が生じるかを検討することが、本講義の第2の目的といえる。具体的には川端康成、里見弴の小説と、豊田四郎、清水宏、小津安二郎によるその映画化作品を取り上げる予定である。

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1 |
授業の概要・ガイダンス |
2 |
映画と小説の差異:文章の単位とショット |
3 |
映画と小説の差異:視点と切り返しショット |
4 |
映画と小説の差異:物語の呈示の仕方 |
5 |
映画と小説の差異:映画に人称は必要か? |
6 |
映画と小説の差異:小説に可能なこと |
7 |
映画と小説の差異:映画に可能なこと |
8 |
映画と小説の恋愛の描き方 |
9 |
作品A=小説と映画の分析(1)女性表象 |
10 |
作品A=小説と映画の分析(2)男性表象 |
11 |
作品A=小説と映画の分析(3)性差 |
12 |
作品A=小説と映画の分析(4)表象と表現の間 |
13 |
作品A=小説と映画の分析(5)まとめ |
14 |
第1学期の授業の総括 |
15 |
自主研究 |
16 |
映画の新しい次元とは? |
17 |
同時進行する映画と小説 |
18 |
作品B=小説と映画の分析(1)欲望の投影 |
19 |
作品B=小説と映画の分析(2)性の監視 |
20 |
作品B=小説と映画の分析(3)監視の破綻 |
21 |
作品B=小説と映画の分析(4)性差のかく乱 |
22 |
作品B=小説と映画の分析(5)まとめ |
23 |
作品C=小説と映画の分析(1)複数の視線 |
24 |
作品C=小説と映画の分析(2)視線のすれ違い |
25 |
作品C=小説と映画の分析(3)性の転倒 |
26 |
作品C=小説と映画の分析(4)事態の急変 |
27 |
作品C=小説と映画の分析(5)心変わり |
28 |
作品C=小説と映画の分析(6)まとめ |
29 |
第2学期の授業の総括 |
30 |
自主研究 |

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基本的には講義形式で行う。ただし、授業中に多くの映画を部分的に鑑賞し、小説を読んできてもらった上で話を進めてゆく。またこれらの小説や映画について一定の条件を出して考察してもらう小レポートを授業中に課すことがある。DVDなどでは入手困難な映画を部分的に上映することがあり、そのときに授業に参加していないと、ついていけなくなる恐れがあるので注意すること。

- レポート:70%(第1学期末と第2学期末に計2回課すレポート)
- 平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):30%(出席、授業中の発言と態度、小レポートなど)
- 第1、第2学期末のレポートは、授業をきちんと理解していないのと、書くことの出来ないテーマが課されるので注意すること。

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川端康成『雪国』、新潮文庫(最新版)
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その他の教科書については授業中に指示する。またプリントを多数配布する。

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中山昭彦編『ヴィジュアル・クリティシズム』、玉川大出版部、2008年
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十重田裕一編『横断する映画と文学』、森話社、2011年
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この他の参考文献については授業中に指示する。

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第1回目の授業に必ず出席のこと。