● フランス語圏文化演習(舞台・映像)B
―フランス語で読むシェイクスピア――
担 当 者
単 位 数
配当年次
学 期
曜 日
時 限
三枝 大修 講師
4
3~4
通年
月
4
シェイクスピアの戯曲作品には優れた日本語訳がいくつも存在するが、フランスでも事情は同断であり、英詩の名翻訳家ピエール・レリスや詩人イヴ・ボヌフォワといった錚々たる文学者たちがシェイクスピアの仏語訳に挑んでいる。
本演習授業では、シェイクスピア作品の仏語訳を数種類比較してみることで、「戯曲の翻訳」という作業がいかになされているのかを地道に観察してゆきたい。取り上げる作品としては、まず『ロミオとジュリエット』を考えているが、余裕があれば『ハムレット』等を扱う可能性もある。授業の主な目的は、(1)ふだんあまり読む機会がないであろう、戯曲形式で書かれたテクストに親しむこと、(2)『ロミオとジュリエット』仏語訳の精読を通じて、フランス語読解能力を向上させること、(3)フランス語、英語、日本語という三つの言語間を往復することで、それぞれの言語の特性に対する理解を深めること、(4)翻訳という営為についての思考を深めること、の四点である。
1
イントロダクション(授業形式や成績評価の方法についての説明)
2
フランス演劇史の概説
3
フランスにおけるシェイクスピア受容史の概説
4
レポートの書き方の説明
5
学生による口頭発表
6
質疑応答(ディスカッサントによる質問や批判に発表者が応答する、という形式)
7
担当教員による解説
8
その後は、5~7のサイクルの繰り返し
はじめの数回は、講義形式。フランス演劇史、フランスにおけるシェイクスピア受容史、レポートの書き方、等について概説を行う。その後は、毎回、学生による口頭発表が中心となる。各自、自分の担当箇所について、シェイクスピアの原文(英語)とその仏語訳(二~三種類)を比較しながら見えてきたこと、すなわち「研究の成果」を披露する(発表準備の際に日本語訳を参照することは大いに奨励される)。なお、聴き手の学生の中から毎回何人かディスカッサントを決めておき、口頭発表終了後に質問・批判等のコメントを述べてもらう。口頭発表者は責任をもってそのコメントに返答しなければならない。
レポート:30%(レポートの書き方は授業中に指示する)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):40%
口頭発表:30%(口頭発表のやり方は授業中に指示する)
出席回数、発言回数、予習の量、口頭発表のクオリティ、各学期末のレポートなどを総合的に評価する。
シェイクスピアの原典、その仏語訳、いずれについても必要な箇所のコピーを配布する予定。
シェイクスピア『新訳 ロミオとジュリエット』(角川文庫)、角川書店、2005年、ISBN=9784042106159
その他の参考文献については、必要に応じて教室で指示する。
履修者数制限あり。
第1回目の授業に必ず出席のこと。
就職活動中の四年生も含め、必ず第一回の授業に出席すること。本演習授業を履修する上でのルールはすべてその折に説明する。なお、理由の如何にかかわらず、欠席回数の多い者にはその回数に応じて期末に追加課題を課す予定である。履修者はその点を了承しておいてほしい。また、発表担当者以外の学生も毎回の予習は必須であり、成績評価は厳格に行うので、あまり勉強することなく効率的に単位がほしいと考えている者には履修を勧めない。文学作品の翻訳という創造的な言語行為の場にどっぷりと身を浸し、言葉と真剣に向き合ってみる――そんな営みに興味のある学生諸君の積極的な参加を期待する。