国際理解教育論Ⅰ

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
佐藤 学 教授 2 1~4 第2学期 2

授業の目的・内容

国際理解教育を推進するための演習である。受講者はグループに分かれて、関心のある一つの国について文献調査を行い、その国の言語、歴史、社会、文化、教育の特徴について報告し討議する。その前提として、持続可能性の教育、多文化共生の教育、市民性の教育の三つの視点から、国際理解教育の概要について講述する。

授業計画

1 国際理解教育とは何か:「国際理解教育」の概念について、その政策的背景と実践的課題について講述する。
2 持続可能性の教育:持続可能性の社会を建設するために、教育はどのような役割を担っているのか。教育における「持続可能性」の意味について概説し、併せて先進国の教育プログラムについて紹介する。
3 多文化共生の教育:グローバリゼーションによって多文化共生の社会がどのように実現しているのか。北米、欧州、アジアの現状を紹介し、日本における多文化共生の課題について討議する。
4 市民性の教育:「市民性の教育」の概念とそのプログラムの実例について紹介し、主権者教育、葛藤解決の教育、公共的倫理の教育、ボランティア教育の普及の状況について講述する。
5 アジアにおける文化交流と教育交流:アジア諸国の間の文化交流と教育交流の機会が拡大している。本学の教育学科の国際交流の展望を示し、受講者のアジアの教育への関心を高める。
6 グループの報告と協同討議(1)北米地域:北米地域の国の言語、歴史、文化、教育の文献調査の報告と討議。
7 グループの報告と協同討議(2)欧州地域:欧州地域の国の言語、歴史、文化、教育の文献調査の報告と討議。
8 グループの報告と協同討議(3)東アジア地域:東アジア地域の言語、歴史、文化、教育の文献調査の報告と討議。
9 グループの報告と協同討議(4)東南アジア地域:東南アジア地域の言語、歴史、文化、教育の文献調査の報告と討議。
10 グループの報告と協同討議(5)その他の地域:上記以外の地域の国の言語、歴史、文化、教育の文献調査の報告と討議。
11 グローバリゼーションと教育:グローバリゼーションは、どのような教育の危機を誘発し、その解決を迫っているのか。子どもの学習権の保障、子どもの貧困の克服、平和の危機などについて、ユネスコとユニセフの報告を紹介して検証する。
12 平和のための教育:グローバリゼーションは、局地戦争とテロの戦争の危機を生み出している。平和のための教育の国際的な取り組みについて紹介し、日本の貢献について討議する。
13 国際交流と国際連帯:教育の国際交流と国際連帯について、文部科学省、外務省とその関係機関(ユネスコ、ユニセフ、国際交流基金など)および国連とその関係機関は、どのような取り組みをしているのか、概説し理解を形成する。
14 全体の総括討論:国際理解教育の全体像について補足的な講述を行い、受講者の質問についてグループ討論を行ったうえで総括を行なう。
15 全体の総括と個人レポートの作成並びに評価

授業方法

最初に国際理解教育の概念、意義、方法について概説した後、各自で小学校の児童を対象として一つの国を事例とする単元開発を行う。

成績評価の方法

レポート:20%(ミニリポートによる理解度の評価)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):40%(単元開発の実習のプロセスを評価)
平常点とレポート:40%(開発した単元事例を評価)
国際理解教育の概念的理解と同時に、単元開発の実習により実践的研究を評価する。

参考文献

参考文献については授業時に必要に応じて指示する。