教育心理学D

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
杉森 伸吉 講師 2 1~4 第2学期 3

授業の目的・内容

おもに児童から青年期の、学校・学級や学習場面における認知や社会性の発達とその問題をあつかう。教育心理学の知識体系を生み出した主な研究方法の理解も促すことにより、教育現場における研究的視点の基礎もあわせて涵養する。教育心理学の基礎を形成する知識体系を習得するとともに、教育現場における実践知のすみやかで健全な形成を促す基盤づくりに資する。

授業計画

1 教育心理学概観:定義、課題、研究法、行動主義と認知主義、カリキュラム、教育目標など
2 発達の諸相:発達課題、人格の発達、生涯発達、発達の障害など
3 認知発達:ピアジェの理論、言語、記憶、思考などの発達、知識獲得など
4 青年・成人・高齢者:アイデンティティ、自己実現、生涯教育、生涯学習など
5 学習の障害と指導:幼児・児童・生徒の学習障害とその指導など
6 発達の障害と精神障害:発達障害の諸相と、さまざまな精神障害など
7 学習のメカニズム:理論、教科の学習、学習の転移、学習の動機づけなど
8 授業と学習指導:メディアやコンピュータを利用した学習指導など
9 教師の役割と心理:あるべき教師像を求めて(教師の立場から、子ども・保護者の立場から)
10 学級集団:交友関係や教師-生徒関係、子どもと学校を取り巻く環境の変化
11 いじめと攻撃性:いじめと不登校、いじめの種類、いじめと適応、いじめと障害児者
12 体験活動による学びと社会性の発達:体験活動の意義、種類、事例など
13 知能・才能:才能や測定の問題、早期教育など、創造性、認知スタイルなど
14 学力:学力不振、学力観、(個性、個人差)など
15 測定・評価:考え方、方法、テスト作成、進路指導など・まとめ
与えられた知識を、単に理解し吸収するという「知の消費者」としての優秀さだけではなく、自ら疑問をたてて、先人の作った知を越えていけるよう、「知の生産者」としての優秀さも、受講する皆さんが追求していけるように、という願いを込めつつ、授業をしたいと思います。

授業方法

講義が中心であるが、途中で小テスト、グループ・ディスカッションなどを行う場合もある。
また,テキストに書いてある内容は,自主勉強用のプリントを配るので,そのプリントで勉強し,独力で理解が困難な箇所への解説をするくらいにとどめ,授業内では,テキストに書いてないことも話したり,実習を行ったりする予定です。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):70%(期末試験では主にテキストの理解を問う問題を出します。)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):30%(出席が2/3以上になった段階で,10点から30点までの出席点がつきます。2/3未満の場合は,失格となります。また,授業態度などが勘案される場合もあります。)

教科書

太田信夫『教育心理学概論('09)』初版、放送大学教育振興会出版部2009
学年末試験の内容は、教科書には準拠する予定です。

参考文献

北尾倫彦・他『精選コンパクト教育心理学』、北大路書房2006

履修上の注意

履修者数制限あり。(60名)
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

心理学は、文科系科目の中でも、理科系に近いといわれていますが、自由意思を持った人間が対象ですから、意識すら持たない物質を対象とする科学とくらべると、おのずと数理的に割り切れない部分も出てきます。しかし、C.P.スノーが数十年前に指摘したとおり、いまは文系と理系を分けて考える時代ではなく、いわゆる理系の人でも、一流の人々は、文理融合の重要性を深く認識していると思います。したがって、大学入学までに培われた「自分は理系」「自分は文系」というアイデンティティをいったん解体し、あるいは「文系科目・理系科目」という「色眼鏡」をかけず、虚心坦懐に、教育場面における児童生徒や教師の心理について、一緒に学び考えるつもりで、授業に臨んでくれるように望みます。