博物館資料保存論
「資料を伝える」ということ―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
長佐古 真也 講師 2 2~3 第1学期 2

授業の目的・内容

様々な博物館資料を長く後世に伝えるための基本、すなわち資料の性質や資料を取り巻く環境を科学的に捉える視点を養い、日常業務における資料への配慮や様々な事態への対応を適切に行う上で必要な知識の習得を目指します。また、これらを通して、資料を次の世代に引き継ぐことの意義、すなわち資料保存に係る理念を育むことを目的とします。

授業計画

1 「資料の劣化」と「保存の理念」
2 資料素材を知る(1)有機物Ⅰ;木材・繊維・紙等
3 資料素材を知る(2)有機物Ⅱ;樹脂・染料等
4 資料素材に関する知識(3)無機物Ⅰ;金属
5 資料素材に関する知識(4)無機物Ⅱ;岩石・ガラス他
6 資料劣化の要因とその対応を知る(1)温湿度
7 資料劣化の要因とその対応を知る(2)室内空気汚染・塵埃
8 資料劣化の要因とその対応を知る(3)光
9 資料劣化の要因とその対応を知る(4)生物被害とIPM
10 資料劣化の要因とその対応を知る(5)野外環境、自然災害、輸送、人災
11 劣化した資料に対する対応を知る(1)伝統的修復方法
12 劣化した資料に対する対応を知る(2)考古資料の保存処理
13 資料保存に対する心構えを考える
14 資料保存の歴史と未来
15 総括

授業方法

講義形式で行います。授業中に課題を課す場合があります。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):80%(基本的な知識の他に、応用力を問う内容です)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):20%(リアクションペーパーの提出状況及び内容)
学期末に行う試験、授業内で課す課題と出席状況を総合して評価します。

教科書

講義内容全体を網羅する書籍がないことから教科書は定めず、講義内に配布する資料を中心に授業を進めます。

参考文献

東京文化財研究所 編『博物館資料の保存環境』、中央公論美術出版2011年、ISBN=9784805506486
石崎武志 編著『博物館資料保存論』、講談社2012年、ISBN=9784061565036
上記2冊は、準教科書的内容を有する参考書です。この他、講義内容に沿った参考文献に関しては、当該講義内にてご案内します。

その他

短時間で多くのことを学ぶ必要があるため、欠席・遅刻をしないよう十分に留意して下さい。