※日本文学特殊研究
長編小説の諸問題―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
山本 芳明 教授 4 D/M 通年 4

授業の目的・内容

日本近代文学の主流が短編小説にあるという錯覚に陥りやすいのは、志賀直哉や芥川龍之介などの短編小説の名手たちの文学史的評価が高かったり、文芸誌などが短編小説重視の編集をすることが多いためではないだろうか。しかし、明治以降急速に発展したジャーナリズムの中心は連載小説にあった。また、多くの講読者を惹きつけたのも長編小説だった。しかし、長編小説の研究は短編小説に比較すれば、十分に発展しているとはいえないだろう。本授業は、こうした研究のアンバランスを修正していこうと考えている。第1学期で、夏目漱石の『門』、菊池寛の『真珠夫人』を取りあげて、長編小説の分析の方法を確認したのち、第2学期では履修者がもっとも興味をもっている長編小説を取りあげて、自らの研究の成果を発表していく予定である。

授業計画

1 ガイダンス
2 『門』を読む(1) 第一章~五章
3  同上   (2) 第六章~十章
4  同上   (3) 第十一章~十五章
5  同上   (4) 第十六章~二十一章
6  同上   (5) 第二十二章~二十三章
7  同上   作品全体に関する討議
8 『漱石研究』第17号前半をよむ(1)
9  同上      後半をよむ(2)
10 『真珠夫人』をよむ(1) 「奇禍」~「ユージット」
11  同上      (2) 「美奈子」~「汝妖婦よ」
12  同上      (3) 「面罵」~「破裂点」
13  同上      (4) 作品全体の討議
14 研究史の総括
15  まとめ
16 第2学期のガイダンス
17 履修者による発表(1)
18 前回の発表に対する質疑・応答
19 履修者による発表(2)
20 前回の発表に対する質疑・応答
21 履修者による発表(3)
22 前回の発表に対する質疑・応答
23 履修者による発表(4)
24 前回の発表に対する質疑・応答
25 履修者による発表(5)
26 前回の発表に対する質疑・応答
27 履修者による発表(6)
28 前回の発表に対する質疑・応答
29 授業のまとめ
30 予備日
授業の計画は流動的で、履修者の希望を考慮して、計画を変更することもあります。

授業方法

第1学期は講読形式で行い、履修者に必ず意見を求めます。
第2学期は演習形式で行う予定です。

成績評価の方法

レポート:50%(学年末に課した作品論のレポートを評価します。)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):50%(出席や授業中の発言、発表を評価します。)
作品の的確な把握、独創的な解釈、質疑応答の際の論理的な対応などが平常点のポイントになります。レポートについては、論理性・実証力が評価の基本となります。

教科書

夏目漱石『門』(新潮文庫

参考文献

授業中に適宜指示します。

履修上の注意

履修者数制限あり。
第1回目の授業に必ず出席のこと。