臨床心理学特論

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
伊藤 良子 教授 4 M 通年 3

授業の目的・内容

心理療法の事例をもとに、人間存在のさまざまりなあり方について、心理化・身体化・行動化・象徴化の4つの観点から考える。この観点を踏まえて、技法と理論について学ぶことによって、心理療法の初回面接における見立てを深めるとともに、クライエントのあり方に対する適切な技法を検討する。

授業計画

1 人間に現れる心理化・身体化・行動化の状態から象徴化が生じる過程について講義する。
2 象徴化(1):自閉症児の心理療法過程から象徴化の過程について講義する
3 象徴化(2):自閉症児の心理療法の事例研究論文を取り上げ、象徴化についてさらに検討する
4 心理化(1の1):解離と転換ヒステリーにおける抑圧のメカニズムとその回復過程について心理療法過程をもとに講義する
5 心理化(1の2):ヒステリーについて事例研究論文からさらに検討する
6 心理化(2の1):不安神経症の二つの状態像とその回復過程について心理療法過程をもとに講義する
7 心理化(2の2):不安神経症について事例研究論文からさらに検討する
8 心理化(3の1):強迫神経症のメカニズムとその回復過程について心理療法過程をもとに講義する
9 心理化(3の2):強迫神経症について事例研究論文からさらに検討する
10 身体化(1の1):神経症水準の身体化とその回復過程について心理療法過程をもとに講義する
11 身体化(1の2):神経症水準の身体化について事例研究論文からさらに検討する
12 身体化(2の1):心身症水準の身体化とその回復過程について心理療法過程をもとに講義する
13 身体化(2の2):心身症について事例研究論文からさらに検討する
14 身体病への心理臨床的アプローチについて
15 行動化(1の1):統合失調症における幻覚・妄想と無意識的罪悪感について事例をもとに講義する
16 行動化(1の2):統合失調症について事例研究論文からさらに検討する
17 行動化(2の1):心理療法の場における人間の心の器の生成について
18 行動化(2の2):多動や衝動的な行動・犯罪について
19 うつ状態のメカニズムとその回復過程について心理療法過程をもとに講義する
20 うつ状態について事例研究論文からさらに検討する
21 技法と理論:夢分析による事例研究論文の検討
22 技法と理論:遊戯療法による事例報告の検討
23 技法と理論:箱庭療法による事例報告の検討
24 技法と理論:家族療法による事例報告の検討
25 技法と理論:描画療法による事例報告の検討
26 技法と理論:クライエント中心療法による事例報告の検討
27 技法と理論:精神分析療法による事例報告の検討 
28 技法と理論:認知行動療法による事例報告の検討
29 技法と理論:動作法による事例報告の検討
30 まとめ:人間存在における象徴化の重要性とそれをもたらす関係性について考える

授業方法

講義と院生による課題発表によって進める

成績評価の方法

レポート:60%(課題の発表内容)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):40%(出席と授業への参加度)

教科書

伊藤良子著『心理治療と転移ー発話者としての<私>の生成の場ー』、誠信書房2001
伊藤良子著『心理療法論』、京都大学学術出版会2011

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。